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「A、先野菜行く?」
「うん、そうする。」
このスーパー、入って目の前にはパンやお惣菜が売られているコーナーが広がっている。目当てである野菜コーナーに行くには店内をぐるりと回り反対側に行かなくてはいけない。レジもそっち側だから色々と見て回ろうと思えばこの場所から順当に見て行った方が効率は良いが如何せん今日は野菜の特売日、いわば戦争なのだ。
カートを押してくれるローレンの隣を歩く足は自然と速足になる。少しすれば見えて来た野菜コーナー、人はまばらに存在していた。赤と黄色の目立つ大きなポップが立っている方向に足を向けて、箱に入っていたじゃがいもを取り敢えずいくつか袋に入れていく。それからにんじんや玉ねぎ、きゅうりやナス。あとは割引シールの付いた袋入りのサラダ。これ、このままお皿に出せば良いだけだから楽なんだよね。
「どう?欲しいモン買えた?」
「うん、バッチリ。」
「なあ、そういや前にAドレッシングないとか言ってなかった?」
「ナイスローレン、すっかり忘れてた。」
「売り場ってどこだっけ。」
「こっちー。」
案内するように私もカートを少し持って押し、誘導していく。野菜売り場から2つ通路を抜けた先の商品棚にいつも使っているドレッシングも陳列されているのだ。お目当てのものを見つけて籠に入れ、次は卵。1パックあればとりあえずは十分かな。
「ねえ、今日一緒にご飯食べる?」
「食べる。」
「何食べたい?」
「ええ?…あれは?生姜焼きとか。」
「じゃあそうしよっかな。」
なんて会話をしながら卵売り場にやって来た。やはり卵は値段が上がったらしい。少しの値上がりでも私にとっては痛い出費だ。いつも買う卵に手を伸ばした時、反対からも伸びて来た手。褐色肌に、見たことがあるブレスレット。
「…あれ、Aじゃん。」
それはバイト先の先輩、イブくんだった。バイト先で見るエプロン姿じゃなくて、学校帰りなのか制服姿の彼を見るのはなんだか新鮮な感じだ。
「イブくん、なんでここに?」
彼の学校はカフェのある3駅先が最寄り駅だったはず。ここまで来るにはさらに電車に乗ってこないといけないはずだ。
「薫子さんのお使い。今からバイトでその前に買ってきてって言われた。」
「成程。」
「そっちは?彼氏とデート?」
笑い交じり、後ろで静かにしていたローレンを見てイブくんは言った。
「彼氏じゃないよ。」
「…A、誰?」
何でそう警戒心丸出しなんだ。
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はるた。(プロフ) - purin1127yさん» コメントありがとうございます!自分ペースにはなりますがこれからも更新していきますので、よろしくお願いします! (3月23日 11時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)
はるた。(プロフ) - 蝶形苺_DIAさん» コメントありがとうございます!嬉しすぎるお言葉です😭 (3月23日 11時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)
purin1127y(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。無理しない程度に更新頑張ってください‼︎ (3月22日 3時) (レス) id: da4c80d9fc (このIDを非表示/違反報告)
蝶形苺_DIA(プロフ) - まっじでおもろい!小説家になれると思いますっ!更新楽しみにしてます😍 (3月19日 22時) (レス) @page47 id: b7f5c20393 (このIDを非表示/違反報告)
はるた。(プロフ) - 継森さん» コメントありがとうございます!こちらこそ、読んでいただいてありがとうございます!誤字のご指摘もありがとうございました、訂正いたしました! (3月19日 22時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるた。 | 作成日時:2024年1月6日 22時