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この日ほど強く、早く授業が終われと願った日はない。それほどまでに生徒会メンバー全員の心がひとつのことを考えていた。教師に決して心情を悟られまいと平然を装いながら、だけど頭のなかはAのことばかりを考えている。

 なんでこういうときに限って話長ぇんだよ、と心の中で悪態吐きながらローレンは担任を見つめていた。さして興味もない 自分のプライベートの話を延々と繰り広げる担任に内心舌打ちをして視線を窓の外へと投げた。

「それじゃ、今日はこれで終わりなー。」

 終わる気配を察した瞬間、ローレンは鞄を手に持ち教室から走り出す。勿論その後ろを剣持も着いていた。そして予め集合場所として決めていた下駄箱に着くと、彼らが最後だったようで他の生徒会メンバーがそこに立っていた。

「やっと来た!」
「遅かったね、何かあった?」
「いや、担任の話がクソ長かっただけ。」
「あー、成程。」

 学校を出てAのバイト先であるカフェへと向かう。道中では焦りを隠すようになんてことない会話をしていたが、話に中身はない。それを全員が分かっているうえで、それでも話は止めなかった。否、止めることができなかった。このまま話を止めてしまえば、次の瞬間には本音が飛び出てしまいそうだったから。怖い、心配、大丈夫なのか、一体何に巻き込まれているんだろうか、話したところで解決しない話題ばかり。この話題を提供したところで、さらにこの胸の嫌なざわつきが広がるだけ。それを全員が分かっていた。

 電車に乗り、揺られ、目的の駅に到着する。人の数はいつもより少なく感じられた。改札を抜け、しばらく歩いていればそのこじんまりとしたカフェは見えてくる。扉に手を掛けて開くと、からんころんっと鈴の音がなった。

「いらっしゃいませ!何名様です…か?」

 出迎えたのは金髪に青のメッシュが入った目立つ髪色をした青年。このカフェにやって来るのは近所に住む老人が多い。それも常連。そのため突如として表れた同年代の、しかも複数人の男子高校生に驚いてしまうのも無理はない。

「えっと、」
「イブラヒムいる?」
「先輩ですか?今奥にいますけど。」


「うわ、揃いも揃ってどうした。」
「久し振り、イブ。」
「おー。で?何か用事?」

 奥からひょっこりと顔を覗かせたのがイブラヒム、葛葉らが会いに来た人物である。

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はるた。(プロフ) - purin1127yさん» コメントありがとうございます!自分ペースにはなりますがこれからも更新していきますので、よろしくお願いします! (3月23日 11時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)
はるた。(プロフ) - 蝶形苺_DIAさん» コメントありがとうございます!嬉しすぎるお言葉です😭 (3月23日 11時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)
purin1127y(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。無理しない程度に更新頑張ってください‼︎ (3月22日 3時) (レス) id: da4c80d9fc (このIDを非表示/違反報告)
蝶形苺_DIA(プロフ) - まっじでおもろい!小説家になれると思いますっ!更新楽しみにしてます😍 (3月19日 22時) (レス) @page47 id: b7f5c20393 (このIDを非表示/違反報告)
はるた。(プロフ) - 継森さん» コメントありがとうございます!こちらこそ、読んでいただいてありがとうございます!誤字のご指摘もありがとうございました、訂正いたしました! (3月19日 22時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はるた。 | 作成日時:2024年1月6日 22時

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