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ページ39

「あと、ローレンくんを強制的に生徒会寮へと引っ越しさせた。もう移動は全て完了している。」
「は?」
「不破さん、…抑えてください。」

 ローレンが異能による差別を嫌い、また3組寮を好んでそこに住んでいることも知っていた。だからこそ、教師らの勝手な行動に思わず声が漏れてしまったのだ。喉の奥から漏れ出た怒りに溢れた声色に、学園長は一瞬眉をぴくりと動かしたが何も言うことはなかった。

「…我々異能者は、異能が全てだ。使える異能者は讃えられ、使えない愚図は用無し。この世界は、そういうものだ。」

 突然の物言いにその場の空気が張り詰める。何が言いたいのか、学園長の言葉の真意が使えない。ただ頭が硬く思考を一昔前に置いてきた学園長の口は止まらない。

「君たちのような有能な者が、どうしてわざわざ底辺と関わる?」

 ここでようやく気がつく、学園長は気づいていたのだ。生徒会雑用の名目で生徒会と関わりを持ったAが、メンバーと関わるようになり、そして心を開くまでになったのだ。己の信念を信じ続ける学園長にとっては信じ難く、また許せないことだった。

 反撃したかった。そんなことはない、能力だけを見て、その人全てを見たような気になって、決めつける。そんなことのどこに意味があるのだ、と。

「っ、お前」
「甲斐田くん。待って。」

 甲斐田の瞳孔がかっ、と開く。今にも飛び掛からんとする彼の体を押さえつけたのは、隣にいた剣持だった。

 もし反撃し自分たちが何らかの処分を受けるとなったとしたら?Aはそんなこと、望んでいるのだろうか。むしろ、自分のことを責めるかもしれない。

 だから彼らはただ、拳を痛いほどに握り込んで溢れてくる怒りに必死に耐えることしかできなかった。

「旧校舎には、一切の立ち入りを禁ずる。Aも雑用からは外すことにした。異論は認めない、話はそれだけだ。」

 言いたいことだけ言うと、学園長は生徒改札を出て行ってしまう。

 これまで色付いていたはずの日常に、亀裂が入った。Aがいて完成されていたあの空間が、なくなってしまった。



 ___こうして少しずつ、日常が崩れていく。

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はるた。(プロフ) - purin1127yさん» コメントありがとうございます!自分ペースにはなりますがこれからも更新していきますので、よろしくお願いします! (3月23日 11時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)
はるた。(プロフ) - 蝶形苺_DIAさん» コメントありがとうございます!嬉しすぎるお言葉です😭 (3月23日 11時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)
purin1127y(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。無理しない程度に更新頑張ってください‼︎ (3月22日 3時) (レス) id: da4c80d9fc (このIDを非表示/違反報告)
蝶形苺_DIA(プロフ) - まっじでおもろい!小説家になれると思いますっ!更新楽しみにしてます😍 (3月19日 22時) (レス) @page47 id: b7f5c20393 (このIDを非表示/違反報告)
はるた。(プロフ) - 継森さん» コメントありがとうございます!こちらこそ、読んでいただいてありがとうございます!誤字のご指摘もありがとうございました、訂正いたしました! (3月19日 22時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はるた。 | 作成日時:2024年1月6日 22時

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