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どれくらいの時間が経ったのか、その場に立っているのがローレンのみとなった。はあ、はあ、と荒い呼吸を繰り返す。寒い季節となって来たがそれでも額から流れ落ちる汗は止まらない。服の袖で拭い、それでも流れ落ちてくるそれが鬱陶しい。あー、なんて声を出し壁に背を預けて凭れ掛かる。
高校入学以来、安全に囲まれた塀の中で暮らして来たから本格的に体を動かし相手を倒すなんてこと久しぶりだった。そこそこ喧嘩が出来て、獲物を持ち、しかもそれなりの数がいた。場所も限られていて、動ける範囲が少ない。勝てる自信はあったが、それでも数で押されると苦しいものがあるのは事実だった。流石に無傷という訳にはいかない。そして最後の1人をようやく倒し終えたと同時、座り込んでしまったという訳だ。
「あー、きっつ…」
呟いた声はその場所一体に響いた。
動きすぎて肺痛ェ。口ん中血の味するし。早くAのとこ行かねえと。鍛錬サボらないでちゃんとやらないと駄目だわこれ。
そういえば、と近くに倒れ込んでいた一人に手を伸ばしその仮面を外す。現れた顔、しかし見覚えはない。単に喧嘩を吹っ掛けられただけらしい。
…いや、本当にそうか?何の理由もなく喧嘩をけしかけられ、これで終わり?本当に?脳内を埋め尽くす疑問、しかしいくら考えても疑問に対する答えは出てこない。取り敢えず今優先すべきはAのことだと、重たい体を立ち上がらせて路地を抜ける。そして倒れた奴らはそのままにローレンは寮へと戻った。
寮へ到着し、Aの部屋のインターホンを押す。しかし反応は返ってこない。体調が悪くて眠っているならそれも仕方ないことだ。しかしローレンはAの部屋の合鍵を持っていない。病人をわざわざ起こすのもどうかと、ドアノブに買ってきたものを掛けてメッセージだけ送っておいた。体調大丈夫?ドアノブに色々入ってる袋掛けといたから、そう送信し自分の部屋に入った。
Aの体調不良のメッセージ、得体のしれない人間に突然襲われたこと、返事のない部屋。これらすべてが繋がっているだなんて、今のローレンにはとても想像なんてつかず疲れた体をぼすんっとベッドに投げ出したのだった。
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はるた。(プロフ) - purin1127yさん» コメントありがとうございます!自分ペースにはなりますがこれからも更新していきますので、よろしくお願いします! (3月23日 11時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)
はるた。(プロフ) - 蝶形苺_DIAさん» コメントありがとうございます!嬉しすぎるお言葉です😭 (3月23日 11時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)
purin1127y(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。無理しない程度に更新頑張ってください‼︎ (3月22日 3時) (レス) id: da4c80d9fc (このIDを非表示/違反報告)
蝶形苺_DIA(プロフ) - まっじでおもろい!小説家になれると思いますっ!更新楽しみにしてます😍 (3月19日 22時) (レス) @page47 id: b7f5c20393 (このIDを非表示/違反報告)
はるた。(プロフ) - 継森さん» コメントありがとうございます!こちらこそ、読んでいただいてありがとうございます!誤字のご指摘もありがとうございました、訂正いたしました! (3月19日 22時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるた。 | 作成日時:2024年1月6日 22時