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「えっ」

 いや、そんなはずない。杠葉くんは背が高くて、体つきもだいぶがっしりしている。外見だけを見た感じだと完全に男の子で、女の子という感じはしない。もしかして私が知らないだけで気持ちは女の子とか、そういうことを緋八くんたちは言っているの?

「杠葉は、背が低い女の子でさ。可愛らしい感じではあるけど、でも女の子と一緒におるとこは見たことないな。」
「私が知ってる子とはだいぶかけ離れてるんだけど…。」
「え、じゃあ本当に別人?割と珍しい名前してるし、転校した時期からしても合ってると思ったんだけど。」

 ううん、と全員が唸る。ただ本当にたまたま杠葉、と言う名前の人物が2人いるのか、それともなにか関係があるのか。私としては前者の可能性が濃厚だと思うんだけど。

「もうそろそろお店閉めちゃうわよー?」
「やばっ」
「待って薫子さんいま片付けます!」
「私食器洗うね。」
「ありがとぉ!」



「お疲れ様でしたー。」
「一人で大丈夫?」
「あ、うん。大丈夫。今から人と会うからさ。」
「そうなん?じゃあ気ぃつけてな。」
「うん。緋八くんと佐伯くんもね。」

 店を出てすぐ、緋八くんたちとは方向が違うため別れることになっている。私が1人で帰ることを心配してくれているようだけど、今から駅でローレンと会う約束があるのだ。このカフェから駅までそう離れてはいないし、街灯や店の明かりもあるため何か起こるとも考えにくいだろう。

 それに村がなくなり立場のない今の私を狙おうとする人間は、今の時代にはいない。そりゃ、あの村にいたときは異能目当てで私を攫おうとする人なんてザラにいた。しかし村がなくなり、村人もいなくなり、異能もひた隠しにしている今そんなことが起こる危険性はない。

 日が落ちたら街を歩く。そらにしたって、さっきの不可解な話は何なんだろう。少し引っ掛かりはするものの、私と彼らとの間に生じる「杠葉」という人物との相違点。話の噛み合わなさに若干の気持ち悪ささえ感じていた。

 そんなことを考えながら駅に向かって歩いている道中、突然体がグイッと横に引っ張られる。ひゅっと息を飲んでその人を見上げたとき、見知った人物で安堵した。

「いきなり腕引っ張られたらびっくりしちゃうじゃん、杠葉くん。」

 突然目の前に現れたのは、今まさに考えていた彼だった。

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はるた。(プロフ) - purin1127yさん» コメントありがとうございます!自分ペースにはなりますがこれからも更新していきますので、よろしくお願いします! (3月23日 11時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)
はるた。(プロフ) - 蝶形苺_DIAさん» コメントありがとうございます!嬉しすぎるお言葉です😭 (3月23日 11時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)
purin1127y(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。無理しない程度に更新頑張ってください‼︎ (3月22日 3時) (レス) id: da4c80d9fc (このIDを非表示/違反報告)
蝶形苺_DIA(プロフ) - まっじでおもろい!小説家になれると思いますっ!更新楽しみにしてます😍 (3月19日 22時) (レス) @page47 id: b7f5c20393 (このIDを非表示/違反報告)
はるた。(プロフ) - 継森さん» コメントありがとうございます!こちらこそ、読んでいただいてありがとうございます!誤字のご指摘もありがとうございました、訂正いたしました! (3月19日 22時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はるた。 | 作成日時:2024年1月6日 22時

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