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薫子さんが作ってくれたのはシンプルなイチゴのショートケーキ。生クリームは程よい甘さで、苺本来の甘さがよく引き立てられている。口に残らない甘さのショートケーキ、これならいくつでも食べられそうなんて思ってしまうほど。流石料理上手の薫子さんだ。

「なあ、Aちゃん。」
「なに?」

 黙々とケーキを食べ進めていたが、流れていた沈黙を破ったのは私の前に座る緋八くんだった。いつもにこにことしている彼が、珍しく真剣な表情をしていたものだから思わず私の背筋も伸びる。丁度食べ終えたケーキ、フォークを置いて話を聞く体制を整えた。

「あのさ、最近Aちゃんの学校に転校生来んかった?」
「転校生?…来たけど、どうして知ってるの?」
「やっぱりかぁ、」
「え、ちょっと待ってそれって杠葉?」
「そうらしいで。」
「マジか!」

 静かにケーキを食べていた隣に座る佐伯くんまでもが緋八くんの声に反応した。え、何これ2人共杠葉くんのことを知ってるってこと?世間は狭いというけれど、それにしたって狭すぎやしないか。

「どうして知り合いなの?」
「杠葉が転校する前は俺らと同じ学校やったんよ。」
「ああ、そうなんだ。」

 …どうしてだろう、話題が杠葉くんのことになった途端彼らの表情がいっきに硬くなってしまったように思える。どうしてそんな表情をするのか、私には心当たりがない。だって杠葉くんは私とも一緒にいてくれるような優しい人なのだ。こんな顔をされる意味が分からない。

「あいつ、性格に難あるんだよなぁ。」
「そうそう。やから気を付けるんやで。」
「…でも、優しいよ?高いところにあるもの取ってくれたり、落ち込んでたらジュースくれたり。最近は一緒にご飯食べてくれるし。」
「…それ、本当に杠葉?」
「うん。」
「同姓同名…とかじゃないよな。」
「あの子が男にはまだしも女の子に優しくしてるとこ見たことある?」
「いや、ない。」
「よなぁ?」
「それに高いところの物取れるほどの背もなくない?」
「そうなんだよ。」
「え?ある程度背は高いと思うんだけど。」
「え?」

 なんだこれ、同じ人の話をしているはずなのにどうしてこうも話が嚙み合わない?

「だって杠葉くんって」
「杠葉くん(・・)?何言ってんのAちゃん。」






____杠葉って、女の子やん。

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はるた。(プロフ) - purin1127yさん» コメントありがとうございます!自分ペースにはなりますがこれからも更新していきますので、よろしくお願いします! (3月23日 11時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)
はるた。(プロフ) - 蝶形苺_DIAさん» コメントありがとうございます!嬉しすぎるお言葉です😭 (3月23日 11時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)
purin1127y(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。無理しない程度に更新頑張ってください‼︎ (3月22日 3時) (レス) id: da4c80d9fc (このIDを非表示/違反報告)
蝶形苺_DIA(プロフ) - まっじでおもろい!小説家になれると思いますっ!更新楽しみにしてます😍 (3月19日 22時) (レス) @page47 id: b7f5c20393 (このIDを非表示/違反報告)
はるた。(プロフ) - 継森さん» コメントありがとうございます!こちらこそ、読んでいただいてありがとうございます!誤字のご指摘もありがとうございました、訂正いたしました! (3月19日 22時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はるた。 | 作成日時:2024年1月6日 22時

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