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「＜異能使うと、人とか動物の心の声まで聞こえるんだよね＞」
「…そうなんだ」
「＜だから意図的に耳聞こえ無くしてるの、しんどいから＞」
メモに書かれたその言葉たちからしても、彼の経験してきたその思いは痛い程によく分かるしそれでも笑顔でいられる彼には尊敬に似た感情すらある。初対面のくせに勝手に境遇を重ねるだなんて失礼にも程があるけど、それでも似たようなものを感じてしまって。
「…何か困ったこととか、あったら言ってね。」
私がそう伝えると、ぱあっと笑顔がもっと明るくなりぶんぶんと頷く杠葉くん。その様子が大型犬のようにも見えて、笑いを漏らした私に彼は今度は不思議そうに首を傾けていた。
＿＿＿side No
時を同じくして虹ヶ丘学園本校舎2階、2年1組教室。50代そこそこの恰幅の良い男教師に連れられて入って来たのは容姿の整った女子生徒。ふわふわと少し癖のある髪にくりくりと長い睫毛、大きなまんまるい瞳に、艶のある小ぶりな唇。抱き締めただけで折れてしまいそうな華奢な体躯は、異性だけでなく同性の加護欲までもを誘った。
「初めまして、加藤です。よろしくお願いします。」
上品に笑った加藤と名乗った女生徒に、クラス中は釣られるように拍手を送る。照れ臭そうに笑いながら頭を下げた加藤、ただ一人同じクラスの甲斐田だけは興味なさげに視線をグラウンドへと投げていた。頭の中にあるのはもう長い間ずっと一緒にいる幼馴染と、今日の授業のことだけ。
誰がこのクラスに来ようが関係ない、そもそもこの偏見だらけの小さな世界に愉悦を感じるような人間は嫌いだと、3組にいる自分のかけがえのない幼馴染に思いを馳せる。
「席は…甲斐田、お前の隣でいいな。」
「え？」
「加藤、そこの空いてる席に座ってくれ。」
「はい。」
「学校の案内も頼んだぞ。」
「えっと、俺ですか。」
「ああ。生徒会だし真面目なお前なら任せられる。」
1人で納得し勝手に話を進めた教師に内心舌打ちをしたが、しかし甲斐田も周囲から見れば優等生。曲がりなりにも優等生で通っている甲斐田が急に舌打ちなんて行動できるわけもなく、ただ絵に描いたような笑顔を貼りつけて分かりました、そう答えるしかできなかった。
「えっと、甲斐田くん？」
「…はい。」
「私、ここに来たばかりで何も分からないから…。よろしくお願いします。」
頭を下げた加藤の姿もまた、甲斐田はなんとなく目で追うだけだった。
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はるた。(プロフ) - purin1127yさん» コメントありがとうございます！自分ペースにはなりますがこれからも更新していきますので、よろしくお願いします！ (3月23日 11時) (
レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)
はるた。(プロフ) - 蝶形苺_DIAさん» コメントありがとうございます！嬉しすぎるお言葉です😭 (3月23日 11時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)
purin1127y(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。無理しない程度に更新頑張ってください‼︎ (3月22日 3時) (レス) id: da4c80d9fc (このIDを非表示/違反報告)
蝶形苺_DIA(プロフ) - まっじでおもろい！小説家になれると思いますっ！更新楽しみにしてます😍 (3月19日 22時) (レス) @page47 id: b7f5c20393 (このIDを非表示/違反報告)
はるた。(プロフ) - 継森さん» コメントありがとうございます！こちらこそ、読んでいただいてありがとうございます！誤字のご指摘もありがとうございました、訂正いたしました！ (3月19日 22時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるた。 | 作成日時：2024年1月6日 22時
