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前に言っていた転校生が彼女なのだと、ようやく重い腰を上げて各々の席に着いたときに晴が呟いていた。しかしその話をきいたとて私には関係はないし、今後何か関わりを持つことがあるかと問われれば限りなく無いに等しいだろう。

「じゃあやるかァ。」

 気だるげな会長の声を背に、私は隣の生徒会準備室へと移動する。机の上には案の定たくさんの資料とホッチキスが置かれており、私は今からこれを裁かなければいけないのかと思うと気が遠くなるが仕方ない。雑用係としての仕事をしっかりこなさなければいけない。心を落ち着かせるようにして息を吐いて、それから椅子に座って仕事を始める。日が暮れる前に、終わるといいんだけど。



「…Aちゃん、Aちゃん!」

 そろそろホッチキスを止める手が限界を迎えそうだという頃、不意に名前を呼ばれ顔を上げればにこりと人当たりの良さそうな笑みを浮かべた不破先輩がそこに立っていた。

「あれ、会議は?」
「もう終わった、今はまたゲームしてる。はいこれ。」
「成程。ありがとうございます。」

 彼は片手に持っていた紙パックのジュースを私に手渡してくれる。ずっと淡々と作業をしていたため凝り固まった体とほぐすようにして一度立ち上がると、関節からぽきぽきと小気味よい音が鳴った。

「Aちゃんはどう?」
「見ての通り、ようやく半分終わったくらいです。」
「俺も手伝うで?」
「いいですよ、申し訳ないですし。」
「んー、俺がやりたいんよ。ちょっと待っててな。」

 先輩は一度準備室を出ていくと、ものの数分で戻って来る。彼の手にはホッチキスが握られていて。

「2人でやればその分早く終わるやん?」
「…でも」
「こういう時は先輩に格好つけさせてよ。」

 積みあがった紙の束をぺらぺらと捲りながら順番を確認し、やがて先輩は隣に座る。机に並べられた紙を一枚ずつ手に取ってぱちん、と止めるその作業を繰り返し行うだけの単純作業。不破先輩と2人、何かを話すわけでもなく進められていくがさっきまでよりも確実に早く紙が減っている。
 
「先輩はゲームしてこなくていいんですか?」
「さっきまでしてたから、ちょい休憩。」
「…優しいんですね。」
「誰にでもこんなんやってるわけじゃないけど。」
「…先輩、何だか出会った頃と全然違います。」
 
 ふと漏れた言葉に、先輩は手を止めこちらを見るとまた柔らかく笑う。

「Aちゃん限定やけどね。」

じわり、じわり→←・



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はるた。(プロフ) - purin1127yさん» コメントありがとうございます!自分ペースにはなりますがこれからも更新していきますので、よろしくお願いします! (3月23日 11時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)
はるた。(プロフ) - 蝶形苺_DIAさん» コメントありがとうございます!嬉しすぎるお言葉です😭 (3月23日 11時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)
purin1127y(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。無理しない程度に更新頑張ってください‼︎ (3月22日 3時) (レス) id: da4c80d9fc (このIDを非表示/違反報告)
蝶形苺_DIA(プロフ) - まっじでおもろい!小説家になれると思いますっ!更新楽しみにしてます😍 (3月19日 22時) (レス) @page47 id: b7f5c20393 (このIDを非表示/違反報告)
はるた。(プロフ) - 継森さん» コメントありがとうございます!こちらこそ、読んでいただいてありがとうございます!誤字のご指摘もありがとうございました、訂正いたしました! (3月19日 22時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はるた。 | 作成日時:2024年1月6日 22時

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