・ ページ3
そんな転校生の噂も数日経てばすっかり頭からはなくなっていた。別に誰がこの学園に入って来ようが、どうせ私は関わりを持たないだろうし言ってしまえば関係がないだろうと、そう思っていたのだ。
「ウチのクラスに転校生だ。まあ使えない者同士仲良くするようにな。」
しかしそんな関係がないはずの転校生が、来るはずがないと思っていたこのクラスにやって来た。すらりと背が高く、薄い桃色の髪が特徴的なその子は口元に薄っすらと笑みを浮かべていた。人当たりの良さそうな感じがありありと伝わって来る。教壇に立つ教師の嫌味をものともせず両手を後ろで組みただひたすらに笑っていた。
教師がチョークを手に取って、黒板に名前を書いていく。杠葉遼太郎、黒板にはそう書かれる。
「
そんな教師の言葉に、息を飲んだ。
異能のせいで色々聞こえすぎるから普段は自ら聴力を無くしているだなんて。言葉で人に影響を及ぼす私の異能と相性は最悪。最悪なのに、彼の異能を聞いて妙にほっとした。
「席は、A。お前の隣でいいな。」
私が返事をするよりも先に有無を言わせず杠葉くんを空いた私の隣の席へ案内した教師は、一仕事終えたと言わんばかりに息を吐いて教室を出ていく。残されたの私たちは1限目の授業のための準備を始める。その間、隣から感じる視線。
「…あの、1限目現代文の授業、なんだけど、教科書とかって」
私が声を掛けると彼ははっ、として机の隣に掛けていたリュックから教科書とノート、筆箱を取り出す。彼はいつも笑顔でいるのか、間近で見れば笑い皺が目元にはっきりと出来ていた。両手にそれらを掲げてはここにあるぞと言わんばかりに掲げてアピールしていた。
「ああ、あるんだね。」
それならいいやと再び自分の手元に視線を戻して淡々と自分の準備をしていく。しかしその間にも隣からずっと何やら見られているのは感じていた。時たまちらちと見てみると相変わらずの笑顔。
「杠葉くんは、どんな異能なの。」
そう問いかけてからなんて自分は会話が下手なんだと思った。だってさっき教師がちょっと話してたじゃん、何でもう一回同じこと聞くんだよ私。相変わらず会話が下手くそだと反省したが、彼は何やらスマホを操作し始めしばらくするとつんつん、と肩を叩いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1320人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はるた。(プロフ) - purin1127yさん» コメントありがとうございます！自分ペースにはなりますがこれからも更新していきますので、よろしくお願いします！ (3月23日 11時) (
レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)
はるた。(プロフ) - 蝶形苺_DIAさん» コメントありがとうございます！嬉しすぎるお言葉です😭 (3月23日 11時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)
purin1127y(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます。無理しない程度に更新頑張ってください‼︎ (3月22日 3時) (レス) id: da4c80d9fc (このIDを非表示/違反報告)
蝶形苺_DIA(プロフ) - まっじでおもろい！小説家になれると思いますっ！更新楽しみにしてます😍 (3月19日 22時) (レス) @page47 id: b7f5c20393 (このIDを非表示/違反報告)
はるた。(プロフ) - 継森さん» コメントありがとうございます！こちらこそ、読んでいただいてありがとうございます！誤字のご指摘もありがとうございました、訂正いたしました！ (3月19日 22時) (レス) id: 1d5bdf50b7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はるた。 | 作成日時：2024年1月6日 22時
