psycho [TOP4] (ページ18)

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初めの知識ページ18

「先風呂入ってきて。」

「分かりました。」

家に着くと各々自分のことをやり始めた。

私はというと一番最初にシャワーを勧められてしまったから断ることもできず、着替えを持って急いでシャワールームへ向かった。

服を脱いでシャワーを捻る。

気持ち良い温度の水が体を伝って流れていくとき、いやでも目に入る腹に刻まれた私の番号。

名前のない私が施設にいたときこれで呼ばれていた。

出来れば消してしまいたいけど、いくらナイフで刺したってすぐ元通りになるのだから諦めた。

数分でシャワーを済ませて、シャワールームを出た。

そして特にやることも思いつかなかったし自室へ戻る。

戻ったとてすることもないんだけど。

私は物心ついたときには施設にいたしずっと実験道具として扱われてきたから普通の人がガッコウでするベンキョウもしないまま育ってきてしまった。

そのため恥ずかしいけど字の書き方も読み方すらも知らないのだ。

物の名前、使い方、色の名前など知ってるのを探す方が簡単だ。

だから字がたくさん書かれているものを渡されても何が何だか分からない。

「Aいる？」

「ああ、はい。」

ドアを開けると牛沢さんが立っていた。

手には何か分厚いものを持っている。

「これ、俺のじゃねえけどやるよ。」

「なんですか、これ。」

「…知らない？本って言うんだけど。」

受け取って開いてみると字がたくさん書かれているそれだった。本、というのか。

どうしよう。私のためを思って持ってきてくれたんだろうけど。