吸血鬼さんと人間さん【kzh】

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葛葉くんのご飯が終わると、今度は私のご飯だ。



昨日のうちに買ってきていた食パンをトースターで温めて、マーガリンを冷蔵庫から取り出す。



ちなみにこのトースターは私の家から持ってきた。



一人暮らしのアパートは契約したままだから、いつでも帰ることが出来る。



葛葉くんの長期配信の時とか、ご友人が来た時とか。



そういう時はさすがに気を使って向こうの家へ戻っている。



お金はバイト代で足りているから、大丈夫。



家賃払うだけだしね。



今の生活費は、基本はここで過ごしているからありがたいことに葛葉くんが担ってくれている。



その分、私が家事の担当。



「葛葉くーん。ご飯どうする？」



･ ･ ･ 。



キッチンからリビングへ声をかけるけれど、返事がこない。



ソファの背もたれ越しには肩から上が見えてるのに。



「おーい。葛葉くーん？ずはー？」



パンを放置してリビングに行くと、肩をゆっくりと上下させて目を瞑る葛葉くんが、そこにいた。



(……寝ちゃった？)



顔の前で手を振ってみるけれど、反応無し。



もしかして、お腹いっぱいになったから眠たくなったのかな。



え、赤ちゃんなの…？



かわい…。



無音モードにしたカメラで寝顔の写真をこっそり撮り、肩に手を置いて頬に唇を近づけた。



「放送お疲れ様、葛葉くん」



ふにっ、と頬にキスを落としてその場を離れる。



今日の朝ごはんは自分の分だけで良さそうだ。







.







.







「〜っ……はぁ…」



吸血鬼が、頬を真っ赤にしてため息をつく。



咄嗟の寝たフリは功を奏し、思いもよらない収穫があったようだ。



吸血鬼は真っ赤な顔を隠すように俯き、再びため息をついた。

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