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「お酒でも、どう?」
……なんで、こんな事に…。
目の前には名前も知らないような人が大勢居て、居酒屋でワイワイガヤガヤとどんちゃん騒ぎをしている。
忘年会と称した飲み会は、サークルメンバー強制参加で、私はかろうじて苗字は知っているような女の子に引きずられてやってきた。
バイト先は休み、葛葉くんは今日も配信。
だから暇していたわけだけど、こういう所に来たかった訳では無い。
ちびちびとビールを飲みながら死んだ目で前の人たちを見つめる。
(…帰っていいかな)
お札を置いてもう帰ろうと思い、カバンを漁って財布を取り出す。
ふっ、と視線を上げるとニコニコとした顔が目の前にあった。
だ、誰だろうこの男の人…。
「三村Aちゃん、だよね?」
「エッ…」
「前から気になってたんだよね、俺。あ、ちなみに3年の川名です」
「川名サン…」
そうですか、と呟いて財布の中から1000円札を3枚取り出す。
実際はこんなに高いもの飲んでないけど、一応礼儀として。
帰る旨を誘ってきた女の子に伝えたいけれど、もうどこに行っているか分からない。
もう帰っちゃってもいいよね。
とりあえず葛葉くんに連絡をしてから店を出よう。
「あれ、三村さん帰るの?」
「あぁ、はい」
突然川名さんに話しかけられるが軽くあしらって靴を履く。
「俺送るよ」
「いや結構で…」
「おっ、川名お持ち帰りー!?」
『人間の男が言う"俺が送る"はただの送り狼だから、絶対着いてくなよ』と葛葉くんに何度も言われていたから断ろうとすると、遠くの席の男の人が川名さんを煽るように大声をだす。
「おいお前やめろってー!三村さんごめんね?」
「いや、ほんとに大丈夫なんで。見送りも結構です」
あ、この人たち苦手だ。
そう思って早く立ち去ろうとすると、腕を掴まれる。
「…?」
「やっぱり俺送る。心配だし」
「ですから結構ですって…!」
「まぁまぁ甘えなよ三村ちゃん!」
これまた遠くから女の人の声。
聞いたことがあるから多分、ここに誘ってきた子の声。
さらに注目が集まってくる。
困ったなぁ、と頬をかく川名さんは満更でもなさそう。
嗚呼、この人たちはやっぱり苦手だ。
もう放っておいて帰ってやろうと手に力を入れると、突然ぽんっと肩に手を置かれた。
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hs - こんにちは!r18の作品のURLをコメント欄に貼ってもらえませんか?どうしても見れないので…これからも応援してます! (2022年9月17日 7時) (レス) @page50 id: 44092dc9d2 (このIDを非表示/違反報告)
春(プロフ) - のんちゃんさん» ありがとうございます! (2022年8月6日 23時) (レス) id: 35e1b11f9c (このIDを非表示/違反報告)
春(プロフ) - ルカさん» 恐らく年齢設定の問題だと思われます…。18歳以上だと見れると思います…! (2022年8月6日 23時) (レス) id: 35e1b11f9c (このIDを非表示/違反報告)
のんちゃん(プロフ) - スゥッ……久々にみた…てぇてぇ死んだ…………ありがとうございます┏┛墓┗┓ (2022年8月5日 8時) (レス) @page49 id: bbcbbc772c (このIDを非表示/違反報告)
ルカ - 作品一覧を見ても全3件となっているのにr18の作品だけ非表示になってるんですけどどこで見れますか? (2022年7月16日 3時) (レス) @page27 id: 718c8c65a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年11月15日 0時