吸血鬼さんと人間さん【kzh】

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「んー……ぅ…」



布団をぎゅっと握りながら、目を開ける。



目をしばしばとさせると、隣の物体がもぞもぞと動いた。



白くてサラサラな髪が首にあたってくすぐったい。



「ず、は…？」



頭をポンポンと叩くと再びもぞもぞと動く。



多分、昨日も夜遅くまで配信してたんだろう。



スマホを取り出してYouTubeを開くと、5時間前に配信済みの文字。



今が朝の8時だから…4時までしてたんだ。



仕方ないから寝かせておいてあげよう。



ゆっくりと、こっそりと布団から抜け出して、寝室を出る。



リビングのソファに座って、テレビをつけた。



(初めてここに来た時は、家だと認識できないくらい散らかってたんだよね)



お付き合いが始まって早1年半。



あ、もうすぐ2年になるかも。



彼は当時よりも有名人として毎日忙しくしている。



そんな彼を、私が支えられたら。



ニヤニヤとしながらテレビを見ていると、ドタドタと大きな足音が遠くから響いてきた。



(お、珍しく起きた？)



と思い振り返ろうとする前に、何かがドンッとベッドに勢いよく飛び込んでくる。



それを慌てて受け止めると、にぱっと笑う顔が目の前に現れた。



「ふふ…おはよ、葛葉くん」



「ん…Aおはよ……」



最初はお互い人見知りしていたけれど、随分と打ち解けた方だと思う。



こんなにもニコニコと笑うことはなかったし、こんなにもくっつくことは無かった。



付き合って3ヶ月くらいしたころから、距離がグンと近くなった気がする。



「昨日遅くまで配信してたんでしょ？まだ寝てきたら？」



「……学校は」



「今日は…単位とるの楽な授業だから1日休もうかなって」



「…じゃあ起きてる」



「お、おぅ…」



(な、なんだこの可愛い生物…)



私が一日家にいるから？眠いけど寝ずに起きてる？



可愛いねぇ、と頭を撫でると目を瞑ってぐりぐりと頭を押し付けてきた。



普段は"可愛い"と言われるのが嫌いな葛葉くんも、寝ぼけているからか素直に受け止めている。



きっと目が冴えてきて同じことをしたら怒るんだろう。



「ご飯、どうする？」



「ん゛ー……」



「…まだ、いっか」



私の膝に頭を乗せたままの葛葉くん。



さすがに重くなってきたから起きてもらって、肩を並べて座る体制になった。



「目覚めてきたらご飯食べようね」



「ん…うん」



ご飯はまだ、少しだけお預け。

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