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Aの家は父子家庭で、父親もあまり家に帰ってこないから、実質、Aの独り暮らしだった。
だからなのかよく俺を家にあげてくれた。一人でいると淋しくなることも多いらしい。
Aの家は丘の上に建っている。周りに家はあるものの、皆引っ越してしまい、そこの地区に住み続けているのはAだけだった。(数年後にこの地区の家は全て取り壊すと決定しているらしい。)
それをいいことに俺たちはスタジオからパクってきた機材で夜遅くまでよく遊んだ。AはDJスタイルが好きみたいでよく躍りながら「チェケラら!」と叫んでいる。
ある日、俺はAに曲をプレゼントした。といっても、Aの家にいる間にささっと作った、曲としては完成度の低いものだったが。
パクってきたマイクとアンプを使って俺はAの家で歌った。
「これからもよろしく。」と最後に付け加えて歌い終わった。
その瞬間、静かに座って聞いていたAがすごい勢いで飛び付いてきた。俺たちは床に倒れこんだ。
「痛っっってえ!おいA、」
「ありがとう、ユンギヒョン。俺、誰かにそんな風に思われたの初めてで、本当に、ありがとうございます。ヒョン、俺にとってこれ以上の曲はないです。………大好きです、ユンギヒョン。」
Aは苦しいくらい俺を抱き締めた。俺のTシャツはAの涙でシミができていた。
ふと俺は、今Aと二人でいるこの家を見渡した。
一部屋しかなくて、周りに住民はいなくて、とても綺麗で快適とは言えない小さな家。
それでも、パクってきた機材と、俺が持ち込んでいる衣服が散乱しているせいで、始めて来たときよりは多少は賑やかに見えた。
この家に一人で住んでいるAはどれだけ孤独だったろう。
ライブハウスで先輩たちと一緒に働くAは大人びてると思っていたが、今俺に抱きついているAは何だか捨てられた子供のように見えた。美しい金髪を撫でた後、俺も強くAを抱き締めた。
涙を流しながら何度も、ありがとう、大好き、と言うAは、なんというか、とても愛しかった。次はもっと時間をかけて作った曲をプレゼントしようと思った。
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haruusa(プロフ) - ゆきさん» ゆきさん、コメントありがとうございます!2章楽しみとのことで嬉しいです!頑張って準備しますので是非これからも楽しみにお待ちください😊 (12月21日 11時) (レス) @page49 id: 027e976ee2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - はじめまして!第二章めちゃくちゃ楽しみです!更新楽しみにしてます!! (12月20日 17時) (レス) @page49 id: 9d997c55ea (このIDを非表示/違反報告)
haruusa(プロフ) - ruru_chandayo00さんありがとうございます!そう言って頂けて死ぬほど嬉しいです🥹今書いている話は繊細に書きたいシーンなので時間がかかっています( т т )楽しみにして頂けると幸いです!読んで頂きありがとうございます💜 (10月25日 0時) (レス) id: 027e976ee2 (このIDを非表示/違反報告)
ruru_chandayo00(プロフ) - こんなに続きが気になる作品初めてです!楽しみにしてます! (10月24日 10時) (レス) @page43 id: 9f9b345cea (このIDを非表示/違反報告)
haruusa(プロフ) - LunaLunaさん、コメントありがとうございます😭グクちゃん、はもう少し後に初出演予定なのですが匂わせしちゃいました((((もうすぐ他のメンバーが登場するので是非楽しみにしていて下さい!読んで頂きありがとうございます🙏✨ (10月13日 14時) (レス) id: 027e976ee2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うさうさ | 作成日時:2023年8月6日 23時