クッキー ページ11
大倉先輩、なんであんなに私の頭撫でたんだろう。その時の先輩の顔はずっと笑顔で、本当に飽きることなく撫で続けた。
「──A？クッキー焼けたよ？」
「あれ……いつの間に」
「しっかりしなよ〜。なんか今日ボーッとしてんね」
「だね、いつもだったら何事も手際よくこなすのに」
彼女達3人は、高校に入って出来た友達。全員彼氏持ちのリア充という勝ち組である。
で、今は調理実習の真っ只中。課題はクッキー。グループは自由に組んでいいとの事で、みんなで作っていて、ちょうど今完成したところだ。
「いっぱい焼けたね」
「あたしカレシにあ〜げよっと」
「ウチもあげる！」
「アタシも〜」
クッキーは60枚ほど。彼女達は最低6枚はあげたいと言うので、残り42枚。10枚は今食べて、残りは全部私にやるとの事。
「ねぇ、いいの？こんなに貰っちゃって」
「いーのいーの」
「だってほとんどAが作ったし」
「気になる人にでも渡しなよ。あの4人にでもあげたら？Aちゃんと仲良いし」
『あの4人』とは加藤くん達のことだ。ラッピングなども、予め何枚か用意していて良かった。彼らは私が軽音部に入ることになった元凶なのでかなり恨みがあるが、何かとお世話になっているのであげないワケにもいかない。
「んー！めっちゃ美味い！」
「ほとんど私がやったけどね」
「失礼な！ウチだって洗い物頑張ったわ！」
「洗い物だけでしょ。まぁ、あたしもだけどさ」
そう、実は私がほとんど作ったのだ。1人は卵を生のまま剥こうとするし、1人は「どーやってやんの？」と私にしつこく聞き、1人は「バターって洗剤で洗うの？」とかとんでもない事を言い出したのでこのクッキーは私が作った。それを自分の彼氏にあげるのか。それでいいの？
「クッキーがハート型なのがまた更にいいよね」
「型があって良かったよ」
4人とも、喜んでくれるかな。32枚あるから5枚ずつあげても12枚残るし……うーん。どうしたものか。
(……とりあえずラッピングしておこうっと)
クッキーは初めて作ったけど、案外簡単だった。コツさえ掴んでしまえばこっちのものだし、家でも作ってみようかな。
「ね〜A。ちょっとこっち来てー」
「はいはい」
「うお！めっちゃいい感じじゃん！」
「だよね！ウチの彼氏さ、甘党だから甘い物には目がなくてさー」
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サーさん(プロフ) - 音海さん、はじめまして！いつも読ませていただいてます！面白くていつも楽しみにしています！更新頑張ってくださいね！ (2020年4月27日 22時) (
レス) id: 2aa0ad98f1 (このIDを非表示/違反報告)
もりさん - めっちゃ面白いです、更新頑張ってください！雑愛されガールの方も見てます！ (2020年3月21日 9時) (レス) id: 85d63b0d59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：音海 | 作成日時：2020年3月11日 16時
