悪女クラッシャー、その名もぶりっ子 (ページ6)

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第四話ページ6

ロードワークは危険である。

ロードワーク中に車に轢かれて選手生命を失うなんてとんでもない。

だから、マネージャーが自転車で並走する。

これは、白鳥沢特有である。

『この先曲がり角なのでぇ、一時停止してくださいねぇ！』

「おー、ありがとな。」

走りながら、瀬見が答える。

全員が息切れしていた。

Aも汗だくになりつつ自転車をこぐ。

角を曲がればゴールだ。

全員がラストスパートということでダッシュを始める。

Aも置いてかれてはまずいとスピードを上げた。

ようやく着けば、まずは水分補給。

それから汗をふく。

Aももちろん飲んだ。

タオルは女の子らしいが、吸水性に優れたものである。

『おつかれさまでぇす！この後は解散ですがァ、しっかりストレッチしてくださいねぇ？』

「え、フォーゲルさんはどうすんだ？」

何気に気にかけていた瀬見が、声をかけた。

『何ってぇ、二軍と三軍の方のロードワークについて行くんですよォ？』

にっこりと笑ったAに、全員が気の抜けた声を上げた。

否、数人を除いて、だが。

『それではぁ、コーチの指示に従ってくださいねぇ！』

そう言って自転車を出すと、校門に向かっていく。

その背中を、数名を覗いた部員が唖然と見つめていた。

練習後、Aは家に帰っていた。

両親の意向により、バスで学校に通っているのだ。

というのも、Aは一人暮らしだ。

既にマンションを買ってある。売るのは面倒くさい上に、学校以上にセキュリティがしっかりしているからだ。

寮というのは相部屋である。

幼稚園の頃に外人らしい見た目で虐められたことをよく覚えているAの両親は、他人と生活させることを避けさせたかったのだ。

結果、学園に話を通し、Aを自宅通学にさせたのだ。

ちなみにそのおかげでAは夜遅くまで色々できる。

このあともDVDを見ながら自校の研究をする予定である。

夕飯を何にしようか考えつつ、スーパーに寄って帰る。

エコバックは持参。

というか、祖父母に勧められた風呂敷を持ち歩いている。

見るからに外国人の美少女が風呂敷片手にスーパーから出てくるのは目を引くものがある。いい意味以外でも。

まぁ気にはしてないが。

とことん他人の悪意に鈍感なAである。

中学時代はそのせいでストーカーに攫われかけた。

ぶん殴ったおかげで無事だが。

まぁとにかく、Aは悪意に鈍感だが強かな女性である。