悪女クラッシャー、その名もぶりっ子 (ページ5)

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第三話ページ5

一週間後。

バレー部に残ったのはAだけだった。

「えー、一週間を経て、それでも残ってくれたマネージャーのA・フォーゲルさんだ。」

『A・フォーゲルですっ！苗字はぁ、父がドイツ人と日本人のハーフだからです！日本語は話せるのでぇ、安心してくださいっ！これから三年間、よろしくお願いしますっ、』

すごい子が来た。

過半数がそう思ったであろう。

ただ、この一週間を乗り越えて笑顔でここで挨拶できるということは、普通に凄かった。

以前のマネージャーが休みだった時、地獄の作業をした選手たちは思い出して身震いした。

ちなみに、マネージャーの地獄はこれからである。

「フォーゲル、お前は二軍、三軍の分もやってもらう。一軍と謙遜ないようにこなせ。手伝うようには言うが、練習優先だ。基本はお前一人だ。もう二人、骨があるやつが残れば良かったんだかな.....」

『わかりましたっ！それでは、早速仕事してきますねぇ！』

そう言って水道に向かったAに、部員は少し不信感を覚えた。

「.....大丈夫ですよ、多分。」

「ん？賢二郎がそんなこと言うなんて珍しー！」

「あいつ、幼馴染なんで。父にプロのバレー選手、母にフランス代表をささえたスポーツインストラクターを持つあいつは、バレーに関しては嘘つかないんで。」

「いや、凄いな......」

そんな話は露知らず。Aはウォータージャグにスポドリを作っていた。

ちなみにタオルはそれぞれの物をカゴに入れて持っていく程度である。大した仕事ではない。

なお、スポドリは人数がいるためいちいちボトルに入れて振るなんて手間はできない。

だから、時短のためにウォータージャグで作るのだ。

飲むのは紙コップ。夏場だから使い回しは危ない。

ちなみに、すぐ洗わなければ塩でダメになるので、練習終わりに最優先で洗うのもウォータージャグである。

スポーツドリンクをウォータージャグ三つ分作り、運ぶ。

そのままベンチに運び、往復して二軍、三軍と置いていく。

タオルは軽いので往復せずに、ぱっぱとこなして行く。

休憩になれば全員に怪我がないかチェックし、得点板の準備。

コーチから記録表を貰い、誰が何をしたか記録をする。

途中で怪我をする選手がいたら、手当もする。

それを、一軍の他に二軍、三軍とするのだ。

キツい。

一人というのがキツイのだ。

そして仕上げのロードワーク。

スポドリをもう一度作り直し、外に出す。

そして、自転車に乗った。