五十四枚目 ページ8
『疲れた…』
深くため息をつく
けど、皆元気そうで何よりだ
ここに帰るのは数年ぶりだから、覚えててくれているか心配だったけど杞憂だったな
「サク」
木々に声をかけられる
彼女が差し出してきたのは鍵だった
「ここの大将さんから。渡してって」
『あぁ…僕の家の鍵か』
出て行く前に武風に渡した記憶があったようななかったような
「サクの家…?」
『あれ、言ってなかった?僕はタンバルン出身で、この村で育った山の獅子の一員だよ』
「え」
「えぇっ!?」
いつの間にか隣にミツヒデがいた
そういえば話してなかったっけ。今の今まで気が抜けない時間だったから何にも伝えてなかったな
『別に隠してた気も無かったけど…』
「ここがサクさんの故郷…」
『いい場所だからゆっくりして行くといいよ』
ご両人とも仲良く。と言うとミツヒデが顔を赤くして怒った
木々は眉間にシワを寄せて嫌そうな顔をする
露骨だなぁとか思いながら、僕は自分の家へと向かった
ーー
Side:Obi
「あれ、お姉さんは?」
周辺の見回りを終えて、一時的に帰った時にサクの姿がなかった
(参ったな…さっきの話ちゃんとしたかったのに)
「サクなら家に帰ったよ」
「っ!?木々嬢!?」
いつの間に背後に立ってたんだか
「って、家?」
「そう。ここ、サクの故郷なんだって」
「………えっ!?」
「私もさっき聞かされたけど」
周りは見渡す限り、森に囲まれていた
なんとなく、サクがここで育ったと言われても納得してしまう
「サク、奥の方に行ったよ。今行けば間に合うんじゃない?」
「え」
「色々、話したいことがあるんでしょ」
「……木々嬢には何でもお見通しですかい」
俺は苦笑しながら、木々嬢に礼を言ってサクが去って行った方へと向かう
少し道が入り組んでいて、迷いそうになるけど、なんとなくの勘を頼りに進むとサクの後ろ姿を捉えた
(今日の俺は冴えてるね)
「お姉さん」
声をかけると、別段驚くそぶりも見せずに彼女は振り返った
その顔は"あぁやっぱりな"というような顔
『君なら来ると思ったけど、早かったね』
「それは俺とお姉さんを結ぶ運命の赤い糸が…」
『そういうのいいから』
「ガードかった…」
『すぐそこが僕の家。どうせ来るんだろ』
サクは再び歩き出す
着いた先はこじんまりとした、静かな場所にある、ログハウスのような木造の家
少しだけ寂しさが漂うこの家にサクは迷わず鍵を入れた
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あやや - いつも楽しみに読んでいます。これからも頑張ってください。応援しています。 (2016年3月25日 0時) (携帯から) (
レス) id: 4895b1970d (このIDを非表示/違反報告)
あおぐ(プロフ) - コメント失礼します。とても素晴らしい文章に感動しています。これからも更新応援しています、頑張ってください。 (2016年3月17日 19時) (レス) id: 846b37e79f (このIDを非表示/違反報告)
春月(プロフ) - わかなさん» ありがとうございます!これからも頑張らせていただきます (2016年3月17日 11時) (レス) id: 3cb9b28fc9 (このIDを非表示/違反報告)
わかな(プロフ) - 更新お疲れ様です！毎回楽しくてウハウハですｗ更新これからも頑張ってください！ (2016年3月17日 7時) (レス) id: d4ec265b43 (このIDを非表示/違反報告)
春月(プロフ) - 沢山のコメントありがとうございます!!新作の更新はもう少し構想を練ってから更新したいと思っています! (2016年3月13日 1時) (レス) id: 3cb9b28fc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2016年3月4日 17時
