五十二枚目 ページ6
『……やってしまった』
イトヤの手伝いもとい、鉤爪の拘束をしている僕はため息をつく
穴があったら入りたい。埋まりたい。ていうか死にたい
(なんでキスしたの…!感情が先走りすぎだから…!)
自分で自分を叱る
考える前に行動している自分が憎い
(しかも、自分の気持ち伝えてないし)
あれじゃあ、この前の二の舞だ
あの時とは立場が逆だけど
「…サク、幸せが逃げるぞ」
イトヤに心配されるほど、暗い顔してたのか
なんとなくこの男に感情を読み取られるのは癪だ
『イトヤに言われたくないな。というかね、僕怒ってるんだよ。わかってる?』
「……それは、すまなかった」
『何に対して?』
「白雪を、同意無しに…連れ去って」
イトヤの声が段々と小さくなっている
コイツも変わらず、僕に説教されるの嫌いだな
「サク〜!」
絶妙なタイミングで鹿月が上から降りてくる
『武風、どうだった?』
嬉しそうな顔をしているから、悪くなかったのは分かるけど
「白雪、親父のこと覚えてたみたい。後、皆村に来てくれるって」
『へぇ…白雪は記憶力がいいね』
「ていうか、なんでイトヤはそんなに縮こまってんの?」
おお。自ら火の飛び込んできたな。都合がいい
『説教』
「エッ」
『君もそこに立ちな鹿月。勝手なことした説教だ』
「アッ、ハイ」
鹿月は顔を青くしながらイトヤの隣に立つ
『さて、先ずは前提から…』
「アッ!ま、まってサク!サクも帰ってくるんだよね!?それだけ聞いてこいって親父が!」
長くなることが分かったらしい鹿月が慌てて口を開く
『うん。ゼン王子達が行かなくても、僕は行くよ。どちらにせよ、一回帰りたかったし』
「そ、そっか。サク来るってー!」
鹿月が後方にいた山の獅子のメンバーに声をかける。彼は鹿月とイトヤと僕という組み合わせと空気感を察して、サムズアップをして上へ登っていった
別に殺すワケじゃないのに大袈裟な
山の獅子達が住む山の中の村。そこへ僕は訪問するのではなく"帰省"をする
『久しぶりの実家か…』
「皆喜ぶよ!サク、皆に愛されてるよなぁ〜」
『だといいんだけど』
だって僕も山の獅子の一員だからね
『さて、じゃあ懸念事項も無くなったし、話の続きと行こうか鹿月、イトヤ』
「う、やっぱ、誤魔化されてくんない…?」
「鹿月、諦めろ…」
『ふふ、君達の固定概念から覆すからそのつもりでね』
「ひぃ…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 298人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あやや - いつも楽しみに読んでいます。これからも頑張ってください。応援しています。 (2016年3月25日 0時) (携帯から) (
レス) id: 4895b1970d (このIDを非表示/違反報告)
あおぐ(プロフ) - コメント失礼します。とても素晴らしい文章に感動しています。これからも更新応援しています、頑張ってください。 (2016年3月17日 19時) (レス) id: 846b37e79f (このIDを非表示/違反報告)
春月(プロフ) - わかなさん» ありがとうございます!これからも頑張らせていただきます (2016年3月17日 11時) (レス) id: 3cb9b28fc9 (このIDを非表示/違反報告)
わかな(プロフ) - 更新お疲れ様です！毎回楽しくてウハウハですｗ更新これからも頑張ってください！ (2016年3月17日 7時) (レス) id: d4ec265b43 (このIDを非表示/違反報告)
春月(プロフ) - 沢山のコメントありがとうございます!!新作の更新はもう少し構想を練ってから更新したいと思っています! (2016年3月13日 1時) (レス) id: 3cb9b28fc9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：春月 | 作成日時：2016年3月4日 17時
