八十四枚目 ページ38
サクは涙目に成る程恥ずかしかったようで、俺の脇腹を殴ってくる
地味に一撃一撃が痛い
「痛いよサク…っふ」
『笑いながら言うなよ!ちゃんと反省して!』
「痛いっ!本気で殴ったでしょ今」
『君が笑うからだ…!』
本当に拗ねてしまった
でもこういう表情は初めて見るから、少し嬉しくも感じてしまう。気を許してくれているのだなあって
『これならイザナに婚期が遅れるって揶揄われてる時の方がマシだよ』
不満げに溢れた言葉に目を瞬かせる。
でもそれは…
「その心配も無いんじゃない?」
『は…』
「だって俺がいるでしょ?」
ニコリと笑う。一時停止したサクは、意味を理解し始めてじわじわと先ほどと違う恥ずかしさで顔を赤く染める
『意味…わかってる?』
「分かってる。今のがそういう意味だって」
流石に俺だって軽々しくこんなことは言わない。サクとなら…って本気で思っているから
返事は?とサクとの距離を縮める
彼女は顔を赤くしたまま、視線をそらす
『……い、今はそういう事言う時間じゃないだろ』
「…残念」
これ以上迫ってもはぐらかされるだけだから、先に諦めておく
今は。ね
『!…物音』
「え?」
『やっぱり、護衛は二人だ。来るよ』
その声とともにタイミングよく乱暴に扉を開ける音がする
中にはまだトロウがいるため、大丈夫だろうけれどサクの表情は厳しかった
トロウは窓の外まで出て、相手の顎を蹴り上げる
そして手すりに着地しようとしたけど
「!!」
雨で濡れていて足を滑らせた
重力に従って、身体は落ちていく
『やっぱりね…!』
「マヌケ!!」
俺とサクは同時にトロウを助けるために飛び出す
木の中に突っ込んで行って、途中にあった太い幹でストッパーをかける
なんとかなったけど、左腕を切ったらしく、痛みが襲う
『…足元ちゃんと見ようか』
「す、すみませんでした…」
トロウを引き上げて木に寄りかかる
どうやら額と腕を怪我したらしい
(あれ、サクは何処に)
いつの間にかサクの姿が見当たらない
「いててて…いやー失敗失敗。傷は大丈夫かい?」
「こんなの対したことない」
「昔を思い出すねぇ。君とは何度か組んで仕事をしたよな」
「そんな事もあったかねぇ」
もう随分と昔のことの様に思える
「君は誰相手でも気兼ねなく話すけど、自分にも誰にも執着しないからやりやすかったなぁ」
そういえばいつから執着が悪くないと思う様になったのだろうか
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あやや - いつも楽しみに読んでいます。これからも頑張ってください。応援しています。 (2016年3月25日 0時) (携帯から) (
レス) id: 4895b1970d (このIDを非表示/違反報告)
あおぐ(プロフ) - コメント失礼します。とても素晴らしい文章に感動しています。これからも更新応援しています、頑張ってください。 (2016年3月17日 19時) (レス) id: 846b37e79f (このIDを非表示/違反報告)
春月(プロフ) - わかなさん» ありがとうございます!これからも頑張らせていただきます (2016年3月17日 11時) (レス) id: 3cb9b28fc9 (このIDを非表示/違反報告)
わかな(プロフ) - 更新お疲れ様です！毎回楽しくてウハウハですｗ更新これからも頑張ってください！ (2016年3月17日 7時) (レス) id: d4ec265b43 (このIDを非表示/違反報告)
春月(プロフ) - 沢山のコメントありがとうございます!!新作の更新はもう少し構想を練ってから更新したいと思っています! (2016年3月13日 1時) (レス) id: 3cb9b28fc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2016年3月4日 17時
