六十四枚目 ページ18
眠い目を擦りながら、出立の準備を整える
朝方、中々起きてこないオビを起こしに来たゼン王子が、本来居ない筈の僕の姿を見つけて動揺した声で起きた
「だがお前ら、いつの間にそんな関係になってたんだ」
馬の準備を進めている僕とオビを見て、ゼン王子はしみじみといったように言う
「主鈍いですもんねぇ」
「うるさい!!」
『主人を揶揄うなよオビ。恋人になったのは昨日の夜。王子が気づかないのは当たり前だ』
あくびを噛み締めながらフォローを入れる
「サク、怪我は大丈夫?」
自分の準備を終えて来た白雪が僕に声をかける
『大丈夫。ちょっと治りが遅いけどね』
「……」
『白雪のせいじゃないだろ?というか手当てしてくれた白雪が綺麗に治してくれれば万事解決』
君に暗い顔は似合わないよ。と白雪の頭を撫でる
そうすると彼女も笑ってくれた
『そうそう。笑顔が一番。僕は白雪の笑顔が大好きだよ』
「私も、サクが大好きだよ」
二人で顔を見合わせてへらりと笑う
「いやーお嬢さん達に先越されましたね、主」
「何がだ」
「えー?だから、お嬢さんに大好きって「もう黙れオビ!!」はいはい」
出発の時間になって、白雪は武風に呼ばれる
「そのー…ちょっと父親面してもいいか」
「はい、父さん」
「自分でちゃんと笑っていられる場所を見つけるなんてなぁ…父ちゃんは誇らしい!ありがとうな、白雪」
ニカリと笑った武風に、白雪も嬉しそうに笑った
こうして見ると本当に白雪は母親似だ
「サク」
武風が僕の名前を呼ぶ
「クラリネスは良いとこか?」
『そうだね。この村と同じくらいに良い場所だ』
「そうか、ならいい。たまには帰ってこい」
「サクがいないと、俺もイトヤもつまんないんだよ!だから、また来てよ」
横から鹿月も口を挟む
武風には本当にお世話になった。育て親と言ったら白雪がふて腐れるだろうか
『また来るよ。今度は、恋人と二人で、ね』
オビに聞こえない様にこっそりと言う
「ははっ、それをすっ飛ばして子供の顔も見せに来たらどうだ」
『それは気が早すぎるから』
僕らは馬に乗り込み、村を出る
ちなみに僕は馬がいないので、オビの後ろに乗せてもらった
山の獅子たちは僕らの姿が見えなくなるまで手を振っていてくれた
「さっき、何話してたんだい?」
僕の前に乗っているオビが話しかけてくる
『内緒だよ』
「えぇ?」
『こればっかりは、言えないな』
まだまだ先の、どうなるかわからない未来だから
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あやや - いつも楽しみに読んでいます。これからも頑張ってください。応援しています。 (2016年3月25日 0時) (携帯から) (
レス) id: 4895b1970d (このIDを非表示/違反報告)
あおぐ(プロフ) - コメント失礼します。とても素晴らしい文章に感動しています。これからも更新応援しています、頑張ってください。 (2016年3月17日 19時) (レス) id: 846b37e79f (このIDを非表示/違反報告)
春月(プロフ) - わかなさん» ありがとうございます!これからも頑張らせていただきます (2016年3月17日 11時) (レス) id: 3cb9b28fc9 (このIDを非表示/違反報告)
わかな(プロフ) - 更新お疲れ様です！毎回楽しくてウハウハですｗ更新これからも頑張ってください！ (2016年3月17日 7時) (レス) id: d4ec265b43 (このIDを非表示/違反報告)
春月(プロフ) - 沢山のコメントありがとうございます!!新作の更新はもう少し構想を練ってから更新したいと思っています! (2016年3月13日 1時) (レス) id: 3cb9b28fc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2016年3月4日 17時
