壱ノ章 �� ページ9
「ゼ…」
「行儀悪いなー、だめだろゼン。自分でとらないと」
「!!!」
いつの間にやら階段にいたミツヒデが声をかける
気づいていなかったのか、ゼンはゴフッとむせた
「な…何見て…呼んでないだろひっこんでろ!!」
「うわっ傷付くなー!」
言い争う二人を他所に白雪は齧られた林檎を見る
「ゼン」
「なんだ」
「馬鹿なこといった。ごめん」
謝る白雪。しかし狐狛は林檎を怪訝そうに見つめていた
『…白雪、私にも一口くれ』
「え?あ、うん」
シャリ、と軽い音を立てて齧る
口に含んだ途端に狐狛は渋い顔をした
(これは…)
『白雪、うぬはそれを食べるでないぞ』
「え?」
「あぁ…狐狛の言う通りだ…木々、ミツヒデ悪い。怒るな、よ…」
「ゼン?」
ゼンはそのまま地面に倒れ伏す
続けて、狐狛も足元がふらつき始め、倒れる前にしゃがみ込む
「ゼン!!狐狛!!」
呆然とする白雪、慌ててゼンを抱き起こすミツヒデと木々
そんな一大事の時に、突然の来訪者
辛うじて意識のある狐狛は白雪の前に守るように立つ
『…っ…やはりか…』
入って来たのはラジの側近
白雪は一度見たことのある顔だ
「…おやまあ、口にされたのは白雪どのではなかったか」
「あなた…この前うちへ来た……どういう事…?」
『…下がれ白雪…っ…!』
狐狛は飛びそうな意識の中、刀を構える
「おや、狐狛どのは口にされたようですが…連れて行くには威勢がよすぎますか…」
側近は狐狛と後ろにいる三人を一瞥してから、白雪を見つめる
その林檎は毒であり、解毒剤はある方が持っている、と
「…ご同行、願えますね?」
『!!』
ハッと狐狛は跳ね起きる
場所は変わらず、空き家だ
けれど彼女は、ベッドに寝かされていた
「あぁ、起きたか…」
隣のベッドにはゼンがいた
ミツヒデと木々も控えている
『……白雪は』
「連れてかれたよ」
『じゃろうな……私らを助けるため、か』
狐狛はベッドから降りる。だが、まだ毒は抜けておらず、ふらついている
「お前、動けるのか…?」
『こんな毒…白雪を助ける為ならば造作もない。それよりも早く、あの下衆の所まで行って、殴らねば気が済まん』
刀を握り、部屋を出ようとする狐狛にゼンは待ったをかけた
彼も起き上がり、剣を取る
「俺も行くぞ。白雪を助ける為にな」
『うぬが姫を助ける理由は?』
「…あの娘にあの狭い場所は似合わんからな」
二人は笑いあって、頷き合った
満場一致だ
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Mizuna(プロフ) - 何度も読み返しても本当に面白いですね！続きが読みたいです！ (2023年1月30日 15時) (
レス) @page46 id: 0ed3c8b7be (このIDを非表示/違反報告)
まりねえ - 私も終わりなんて嫌です！ 頑張ってください。応援しています！ (2017年3月22日 22時) (レス) id: c914c93a5f (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - おわりなんてやですよ 頑張って下さい (2017年3月18日 10時) (レス) id: dcf699db89 (このIDを非表示/違反報告)
ヒナタ - おもしろいです！次の話も気になります！がんばってください！ (2016年9月24日 12時) (レス) id: a4a064b62f (このIDを非表示/違反報告)
つねさん(プロフ) - 犬夜○…？春月サンの作品すごくいいです大好きです頑張ってください！！ (2016年7月30日 23時) (レス) id: 45649277a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2016年3月20日 11時
