壱ノ章 �� ページ8
白雪達より先に戻った狐狛達
ミツヒデと木々は中に入ったが、狐狛は白雪が帰ってくるのを待った
暫くして、二人が帰ってくる
大分打ち解けたようだ
「あ、狐狛」
『おかえり白雪』
狐狛は白雪に駆け寄る
『無事で何よりじゃ』
「大袈裟だよ、狐狛」
と
「タンバルンから届けものだよ!」
少年がそう言ってゼンにカゴを渡した
タンバルンという単語に白雪と狐狛は耳を疑った
「タンバルン〜?なんだって隣の国からこんなとこに…」
「え!?」
白雪は慌ててゼンの所に駆け寄る。狐狛もそれに続いた
渡されたカゴの持ち手には二人にとって見慣れたものが括り付けられていた
「それ…私が切った髪を束ねておいたリボンと同じ…」
「は!?」
『籠の中、改めるぞ』
「あ?ああ…」
狐狛は布を取り払うと、真っ赤な林檎が数個
確実に、ここに白雪がいると確信した上での贈り物だ
「狐狛…これ」
『…!!狐の付け根…』
林檎の中から出て来たのは、狐の付け根
二人は確信した。これはラジが贈らせたものだと
「つまりこれの贈り主は家を空けて、遠出をしている白雪と狐狛の身を案じて、タンバルン国境手前の街まで迎えに来ている。と……」
同封されていたメッセージカードを読み終えたゼンは向かいに座っている二人を見る
白雪は浮かない顔で、リボンをもてあそんでいる
「…随分と執念深い紳士のようだな?」
「アハハ…うまいこと言うね」
「何を笑ってる!?国境越えて逃げるくらいの大事だったのか!?」
「……相手が相手だったんで…」
なおも誤魔化そうとする白雪をゼンは何も言わずに見つめるだけ
それでも十分威圧的だ
『…タンバルンの第一王子じゃ』
見かねた狐狛が口を開く
するとゼンはガタリと腰を上げた
「ラジとかいうバカ王子か!」
その表紙で怪我をしている手を思い切り机に叩きつけたのか、痛みで悶えていた
『流石、隣国までにも届く馬鹿の噂じゃのう…』
「相手が相手、ね。まあ、国境通過の記録から何から調べさせたのかもな」
『執念深いのう…』
「一度欲しいと思ったものは、自分の所有物に数えるんだろ」
「………籠に入れるくらいわけないか…」
ボソリと白雪は呟き、林檎を一つ手に取る
その表情は何処か遠くを見つめていた
「なんちゃって」
慌てて作り笑いをする白雪にゼンは何を思ったのか、立ち上がり、白雪の手を取った
「ゼン?」
シャク…
ゼンはそのまま一口、林檎を齧った
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Mizuna(プロフ) - 何度も読み返しても本当に面白いですね！続きが読みたいです！ (2023年1月30日 15時) (
レス) @page46 id: 0ed3c8b7be (このIDを非表示/違反報告)
まりねえ - 私も終わりなんて嫌です！ 頑張ってください。応援しています！ (2017年3月22日 22時) (レス) id: c914c93a5f (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - おわりなんてやですよ 頑張って下さい (2017年3月18日 10時) (レス) id: dcf699db89 (このIDを非表示/違反報告)
ヒナタ - おもしろいです！次の話も気になります！がんばってください！ (2016年9月24日 12時) (レス) id: a4a064b62f (このIDを非表示/違反報告)
つねさん(プロフ) - 犬夜○…？春月サンの作品すごくいいです大好きです頑張ってください！！ (2016年7月30日 23時) (レス) id: 45649277a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2016年3月20日 11時
