陸ノ章 �� ページ41
それを見逃さない白雪は笑って
「ほっとした顔してますよ。ゼン殿下」
「…してないだろ」
「いや、にじみ出てる」
「…………」
なにか言い換えそうにも何も言えないゼンは口を開閉させるのみだ
「でも普段鍛えてる人たちだからかな。回復が早いよ。もうほとんど大丈夫そう」
『これでそろそろ、出られるのう』
「ああ。今日一日問題ないようなら明朝には出ようと思う。いいか?」
「うん」
『うむ』
そこでゼンは役人に呼ばれ、部屋を出ていく
それを笑顔で見送った二人はしばし無言だった
『さて白雪「さてと私も――」
狐狛の言葉を無理やりさえぎって立ち上がった白雪だったが、眩暈がしたのか体が傾く
その行動が読めていた狐狛はがっしりと白雪を抱える
『…白雪』
「も、もうちょっと!!もうちょっとだけやらせて!!」
彼女の言いたいことが分かっていた白雪は必死に懇願する
狐狛の顔は少し険しい
『うぬが頑固なのはわかっておるが、こればっかりは譲れんぞ。さっさと休め』
「う、うぅ〜〜〜」
『はいはい、そう睨んでも可愛いだけじゃぞ』
狐狛は白雪の手を掴んで、寝室へと連れて行こうとする
けれど白雪もなかなか諦めが悪く、動こうとしない
いい加減にしびれを切らした狐狛は担ぎ上げてしまおうという手段に入る
「っ…だ、ダメ!!」
『!!!』
白雪のその言葉にビシリと狐狛は固まる
思考が一時停止したためのものではなく、見えない力で動けないような形で
「暫くそのままでいてね!それじゃ!」
白雪はそう言ってパタパタと部屋を出ていく
『〜〜〜っ…あの、莫迦主…!!ここで使うとは反則じゃぞ…!!』
珍しく自身の主を罵った狐狛は本当にその場に数十分ほど動かないままであった
『くそ…あのお転婆姫はどこに…』
ようやっと動けた狐狛は白雪を探すために、砦内を見て回っていた
外の渡り廊下まで来たところで、赤い髪を見つけた狐狛
声をかけようとしたが、白雪の体が傾いたのを見て彼女は駆け寄る
『っ!!』
彼女の手が届く前に第三者が白雪を受け止めた
―――オビだ
「……やっちゃったよ」
『やっちゃったで済むと思うな。阿呆』
「だよねぇ…」
最早苦笑するしかないオビと呆れるしかない狐狛に白雪は動揺を隠せないでいた
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Mizuna(プロフ) - 何度も読み返しても本当に面白いですね！続きが読みたいです！ (2023年1月30日 15時) (
レス) @page46 id: 0ed3c8b7be (このIDを非表示/違反報告)
まりねえ - 私も終わりなんて嫌です！ 頑張ってください。応援しています！ (2017年3月22日 22時) (レス) id: c914c93a5f (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - おわりなんてやですよ 頑張って下さい (2017年3月18日 10時) (レス) id: dcf699db89 (このIDを非表示/違反報告)
ヒナタ - おもしろいです！次の話も気になります！がんばってください！ (2016年9月24日 12時) (レス) id: a4a064b62f (このIDを非表示/違反報告)
つねさん(プロフ) - 犬夜○…？春月サンの作品すごくいいです大好きです頑張ってください！！ (2016年7月30日 23時) (レス) id: 45649277a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2016年3月20日 11時
