伍ノ章 �� ページ39
盗賊退治を手早く終わらせたゼン一行は後始末を終えて、砦へと戻っていた
話題は、先ほどのゼンのありがたいお言葉…ではなく
『くどいぞ旦那。私とオビは知り合いでも相棒でもないと言っておるだろう』
「いやいや、それにしては息ぴったりだっただろ。なあ木々」
「そうだね。前にもそんなそぶりを見せてたし」
『まったくもって違うと言っておるのに、どうしてそう釈然とせんのじゃ……オビ、うぬからも何とか言わんか』
狐狛は助けを求めるべく、彼女の隣を歩くオビに声をかける
「まあ狐狛嬢とはつい最近会ったばっかりなんで、昔に面識あったとかそういうのはないですねぇ」
「そ、そうなのか?にしては……」
「けどー…」
「「けど?」」
「なーんか懐かしい感じがするんですよぇ…狐狛嬢、俺ら昔に会いました?」
『その聞き方だとだいぶ矛盾が生じるぞ』
狐狛はオビと面識があるどころか、同じく裏家業をしていて背中を合わせたことのある人間だ
けれど彼が覚えていない今、切り出すのもどうかと狐狛は思うのだ
正直なところ、彼が狐狛を覚えていないのは無理もないところがある
『……顔を隠していたしね』
ぼそりと誰にも聞こえないでつぶやく
彼女は裏家業をしている際に、顔隠しのために半狐面を身に着けていたため、同業者に顔を見せたことはない
唯一知っているのは、狐狛にこちらの言葉を教えてくれた男のみだ
つまり、オビはその時の狐狛の顔を見たことがないため面識がないに等しい
『とにかく、じゃ。うぬらが思ってるようなことはない』
「なんだ、つまらんな」
『……今度この話を持ち出したら消し炭にするからそのつもりでな?小童よ』
「おまっ、仮にも俺はお前の主だぞ…!?」
『くくっ、知らん』
(オビが思い出すまでは何も話さんでおこうかのう…奴と面識があると知れば、昔話をせんといかんしな)
まだ、自分の身のうちは話せない
今はまだ
ゼン達が砦に戻るなり、兵士達が窓から出迎えて居た
白雪の看病のおかげで、皆元気になったらしい
その姿にゼンはホッと安堵のため息をついたのだった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 171人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Mizuna(プロフ) - 何度も読み返しても本当に面白いですね！続きが読みたいです！ (2023年1月30日 15時) (
レス) @page46 id: 0ed3c8b7be (このIDを非表示/違反報告)
まりねえ - 私も終わりなんて嫌です！ 頑張ってください。応援しています！ (2017年3月22日 22時) (レス) id: c914c93a5f (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - おわりなんてやですよ 頑張って下さい (2017年3月18日 10時) (レス) id: dcf699db89 (このIDを非表示/違反報告)
ヒナタ - おもしろいです！次の話も気になります！がんばってください！ (2016年9月24日 12時) (レス) id: a4a064b62f (このIDを非表示/違反報告)
つねさん(プロフ) - 犬夜○…？春月サンの作品すごくいいです大好きです頑張ってください！！ (2016年7月30日 23時) (レス) id: 45649277a8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：春月 | 作成日時：2016年3月20日 11時
