伍ノ章 �� ページ37
火を消し、薪をすべて回収した白雪は外に出ていく
狐狛は暖炉の中を一度掃除して新しい薪をくべていた
(これが終わったら、次は…あぁ、薬の制作か。一度湯を沸かさんとな)
パタパタと行ったり来たりをする狐狛
「手伝いましょうか、狐狛嬢」
そこにオビが声をかける
彼の存在に気付いた狐狛だったが、構っていると面倒と判断したのか無視を決め込んだ
「無視ですかい」
『うぬに構ってるとろくなことが起こらんのでな。して、何用じゃ』
「ちょっとぐらい雑談させてくれてもいいのに」
オビは近くの椅子に座り、猫目を細めて笑う
いつもの笑顔の中に少しばかりの鋭さが伺えるあたり、ただ事ではないらしい
狐狛は手を止める
「盗賊退治に向かうってさ。多分、お嬢さんからも言われるだろうけど一応ね」
『そうか…分かった、すぐ向かおう。うぬは先に外に出ていろ。白雪に姿を見られてはまずいのだろう?』
「主がうるさいからね」
彼は早々に部屋を出ていく
狐狛は一度作業を止めて、出る準備をする
傍らに置いてあった上着を取るため、屈もうとするとフラッと体が傾きかける
『っ…近くで作業すれば影響は出るか…』
一度目を閉じて深呼吸をする
『さて、行くとするかのう』
再び目を開けた時には何事もなかったかのような平然とした顔をしていた
無理をしているのは彼女自身分かっていたが、今無理をしないといけないこともわかっていた
ー・−・−
「しかしまあ…悪事を働いた身でまだラクスドにいてくれるとは、親切な連中だな」
「そりゃ、砦を標的にする図太い神経の持ち主だぞ?ゼン」
『むしろ手厚く称賛したい連中じゃな』
「商売道具の薪が重いんじゃないの」
「「『あぁ、なるほど』」」
「あんたら皮肉の大合唱ですよ。それ」
ザクザクと雪道を登っていく先に、不協和音のような笑い声が聞こえてくる
登り終わった先に盗賊が集まっていた
「お前たちか。砦の者に手を出してくれた連中は」
「なんだあ?てめーら」
「王城より来た兵団の者だ。困るな、勝手に人のものを持って行かれては」
ゼンらが兵団だと分かった瞬間に盗賊たちはざわめきだす
動揺ではなく、愉快な笑い声も聞こえてくる
「あれっぽっちの小勢でお城の兵隊さんだってよー!」
「そりゃあわざわざご苦労さんだ」
「たかーい城壁ん中でお昼寝でもしてりゃあいいものを」
「昼寝は好きだよな?」
「好きだな」
『嫌いじゃないのう』
「だが生憎と、それはご免だ」
彼は剣を抜く
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Mizuna(プロフ) - 何度も読み返しても本当に面白いですね！続きが読みたいです！ (2023年1月30日 15時) (
レス) @page46 id: 0ed3c8b7be (このIDを非表示/違反報告)
まりねえ - 私も終わりなんて嫌です！ 頑張ってください。応援しています！ (2017年3月22日 22時) (レス) id: c914c93a5f (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - おわりなんてやですよ 頑張って下さい (2017年3月18日 10時) (レス) id: dcf699db89 (このIDを非表示/違反報告)
ヒナタ - おもしろいです！次の話も気になります！がんばってください！ (2016年9月24日 12時) (レス) id: a4a064b62f (このIDを非表示/違反報告)
つねさん(プロフ) - 犬夜○…？春月サンの作品すごくいいです大好きです頑張ってください！！ (2016年7月30日 23時) (レス) id: 45649277a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2016年3月20日 11時
