伍ノ章 �� ページ36
狐狛と白雪に言われても折れないゼン
白雪はぎゅっと身分証を握って、ゼンと向き合う
「ーゼンと一緒にいる事で何か出来るならそうするよ。でも今は違う
違うけど、私なりに力になれるようやってみるから」
「……白雪……」
言葉が詰まったゼン
色々と心配事が渦巻いているのは誰もが分かる
何より一番白雪が心配であるのも
「俺も、残る」
だから彼も折れないのだ
「ゼーン、それは日没までだって言っただろ」
いつの間にやら現れたミツヒデがゼンに声をかける
今は自分の立場を考えろ。その言葉がゼンの胸にズシリと沈んだ
彼はバッと白雪に頭を下げた
「我が儘を言った取り消す。何かあったら呼んでくれ」
『うむ、素直が一番じゃのう』
狐狛は笑って、頭を下げたゼンを起こす
『心配せずとも、私が付いておる。うぬが護衛に私を指名したのじゃからのう?』
「…狐狛」
『胸を張れ。前を見て進め。さすれば自ずとうぬに味方がついてくる』
「さて、私たちも仕事に取り掛かろうか!狐狛、手伝ってくれる?」
『勿論だとも』
ゼンが外へ出た後、二人は患者の容体を細々と見ていく
「やっぱり、狐狛の言ったとおり扉から離れた人の方が症状が重いね…初期症状は皆一緒なのに」
パラパラと症状結果を書いた紙の束を見ながら、白雪は頭を捻る
手がかりは何かないかと数度見る
『薬の種類はこれで全部か?』
「うん。狐狛、頼んでた鉱物薬は?」
『全部揃えたぞ。あってるかはちと不安じゃがな』
狐狛の手に抱えられている薬を見て、白雪は満足そうに頷いた
「大丈夫。じゃあ先に薬をー…」
立ち上がろうとした白雪だったが、足元がふらつき倒れそうになる
狐狛は慌てて、白雪を抱きかかえた
『白雪!大丈夫か!?』
「う、うん…すぐにはかからないはずじゃ…」
『人によって違うのか…?』
二人は暫く考えあぐね、ハッと顔を上げる
そして同時に見つめた先はーー…
「『薪…』」
「狐狛もそう思う?」
『うむ。これしか考えられんじゃろう…すぐに火を消す。白雪は…』
「ううん。私もやるよ」
休んでいろという言葉は白雪によって遮られる
薄々そんな気がしていた狐狛はふ、と笑って頷いた
『分かった。じゃが、無理はするでないぞ』
「勿論、狐狛もね」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 171人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Mizuna(プロフ) - 何度も読み返しても本当に面白いですね！続きが読みたいです！ (2023年1月30日 15時) (
レス) @page46 id: 0ed3c8b7be (このIDを非表示/違反報告)
まりねえ - 私も終わりなんて嫌です！ 頑張ってください。応援しています！ (2017年3月22日 22時) (レス) id: c914c93a5f (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - おわりなんてやですよ 頑張って下さい (2017年3月18日 10時) (レス) id: dcf699db89 (このIDを非表示/違反報告)
ヒナタ - おもしろいです！次の話も気になります！がんばってください！ (2016年9月24日 12時) (レス) id: a4a064b62f (このIDを非表示/違反報告)
つねさん(プロフ) - 犬夜○…？春月サンの作品すごくいいです大好きです頑張ってください！！ (2016年7月30日 23時) (レス) id: 45649277a8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：春月 | 作成日時：2016年3月20日 11時
