伍ノ章 �� ページ32
止める役人を強引に押し切り、ゼンは準備を進めて行く
その様子にオビは怪訝な顔をした
「おいおい、あの砦は場所的に考えてそんな要でないでしょうに」
「あの砦にはあの地域を守ってる兵士達がいるんだ。心配だろ」
「……ミツヒデさん、あんた仮にも王子の側近でしょうが」
「ああ、ゼンのな。狐狛、向こうは寒いから厚着してけよー」
『あい分かった』
狐狛は頷いて、羽織の他にも取りに行く為に部屋に戻った
「ミツヒデさんって狐狛嬢と仲良いですよね」
「なんだ?ヤキモチか?」
「ハハッ、そんなんじゃないですって。ただ…」
「ただ?」
「なんかほっとけない人なんですよねぇ」
ー・ー・ー
「すまないなー白雪。ちょっと急ぎの用事だから途中までしか送れないけど」
「いや!私こそすみません。同行したうえに乗せて頂いて…」
「いえいえ、お安い御用です」
ミツヒデの馬に乗った白雪が申し訳なさそうにする
この場にいないはずの白雪がいるのは、ガラクにラクスド近くの町でお使いを頼まれたからだ
彼女には何があったのかというのを伝えていない
けれど、ゼンの険しい顔でただ事ではないことは分かっていた
「狐狛も今日はゼンの方?」
借りた馬に乗っている、狐狛に白雪は声をかける
寒い場所の為、短パンではなくたっつけ袴と呼ばれる足首の閉まっている袴を履いて、羽織と襟巻きを着けている
その姿はさながら忍の様である
『残念ながらのう』
「残念ながらってなんだ…」
『しかし、この辺りまで来ると一面真っ白じゃな。いいのう…誰も手をつけていない雪原というのは』
「無視か」
雪を喜ぶ狐狛とは裏腹に木々は光の反射で眩しいと煩わしそうだ
先ほどから口数の少ないゼンが気になったのか、白雪は声をかける
「ゼン、しばらく外出は無いって言ってたのに何かあった?」
「いつもの視察だ。雪が深くなる前にと思ってね」
そういうわりには表情は明るくない
「心配いらない?」
「してくれるのか?」
「うん。今し終わったけど」
「何!?」
『残念じゃったのう』
「じゃー俺達はここで」
「また城でね。白雪」
「はい!ありがとうございました」
『気をつけるんじゃぞ』
「狐狛もね」
「寒いんだから街まで寄り道するなよ!」
『この雪原のどこに寄るんじゃ、阿呆』
白雪を下ろして、ゼン達は砦に向かう
少し進みはじめた所で白雪がゼンに向けて"気をつけて"と手を振った
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 171人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Mizuna(プロフ) - 何度も読み返しても本当に面白いですね！続きが読みたいです！ (2023年1月30日 15時) (
レス) @page46 id: 0ed3c8b7be (このIDを非表示/違反報告)
まりねえ - 私も終わりなんて嫌です！ 頑張ってください。応援しています！ (2017年3月22日 22時) (レス) id: c914c93a5f (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - おわりなんてやですよ 頑張って下さい (2017年3月18日 10時) (レス) id: dcf699db89 (このIDを非表示/違反報告)
ヒナタ - おもしろいです！次の話も気になります！がんばってください！ (2016年9月24日 12時) (レス) id: a4a064b62f (このIDを非表示/違反報告)
つねさん(プロフ) - 犬夜○…？春月サンの作品すごくいいです大好きです頑張ってください！！ (2016年7月30日 23時) (レス) id: 45649277a8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：春月 | 作成日時：2016年3月20日 11時
