伍ノ章 �� ページ31
『………ミツヒデ、これは何て読むんじゃ』
「あぁ、それはなー」
いつもはオビの監視に回る狐狛だが、今日は珍しくゼンの周りについていた
訊いての通り、彼女は今ミツヒデから読みを教わっていた
狐狛はこの国の言葉は話せるが、多種多様というわけではなく、読みがイマイチできていなかった
単語は読めるものの、文章は読めない。ゼンの執務を手伝うとなるとそれは少し面倒になる
『すまんのう…うぬも忙しいというのに』
「いやいや。今日はそれほど忙しいわけじゃないし、気にしないでいいよ」
『恩に着る。この恩は必ず返そうぞ』
「気にしなくていいって」
ミツヒデは狐狛の頭をまるで自分の妹の様に撫でる
狐狛も嫌がりもせずに撫でられたままだ
『…我が国の言葉も至極難解じゃと良く言われておるが、こっちの言葉の方が余程難解じゃて』
「そうなのか?」
今まで様子を見ていたゼンが口を挟む
『我が国は言い回しが面倒じゃからな』
「にしてはお前、ペラペラだよな」
『死ぬほど頑張ったからのう。誰も褒めてはくれんが』
「じゃあ俺が褒めようか」
再びミツヒデは頭を撫でる
と、外からがさりという音が聞こえてくる
「ゼン王子!」
出て来たのはオビだった
「…なんだオビか」
「ハハハハ、なんだとは冷たいですね主」
「主じゃない」
彼は木にぶら下がりながら会話を続ける
「やだな。俺の手綱はあんたに預けたじゃないですか」
「預かってない!」
「木を移動手段に使うなよオビ」
『まったくじゃ』
「狐狛も人のこと言えないだろー」
ミツヒデは撫でたままの手を下ろして、額にデコピンを入れる
かなりいい音がした
『あだっ!何するんじゃ旦那!』
「そこ、じゃれるなー」
「それより今、下で耳にしたんですがね、主の管轄領のラクスド砦に出した使者、帰って来てないそうですよ」
じゃれている二人を一瞥した後オビは、本題を切り出す
「!じゃあ連絡は取れないままか…」
「やっぱり砦内で何かー「失礼致します!ゼン殿下!先日ラクスドへのー」
『来たのう』
「わかった。さて急用が出来たな」
ゼンは靴を履いて、身支度を整えて行く
完全に出かける様子だ
狐狛も立ち上がり、傍らに置いていた羽織と刀を掴む
「!?まさかラクスドへ!?お待ちください、まだ殿下自ら向かわれる程の事かどうか…!」
「それを知る為の使者が帰らんのだから、行く方が早い」
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Mizuna(プロフ) - 何度も読み返しても本当に面白いですね！続きが読みたいです！ (2023年1月30日 15時) (
レス) @page46 id: 0ed3c8b7be (このIDを非表示/違反報告)
まりねえ - 私も終わりなんて嫌です！ 頑張ってください。応援しています！ (2017年3月22日 22時) (レス) id: c914c93a5f (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - おわりなんてやですよ 頑張って下さい (2017年3月18日 10時) (レス) id: dcf699db89 (このIDを非表示/違反報告)
ヒナタ - おもしろいです！次の話も気になります！がんばってください！ (2016年9月24日 12時) (レス) id: a4a064b62f (このIDを非表示/違反報告)
つねさん(プロフ) - 犬夜○…？春月サンの作品すごくいいです大好きです頑張ってください！！ (2016年7月30日 23時) (レス) id: 45649277a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2016年3月20日 11時
