肆ノ章 �� ページ26
『しかしまあ、うぬも災難じゃな。仕事していたら捕まったからのう』
「まあ、今回は予想外だったねぇ。でも、面白そうだし良いかなって」
『……ふ、その考えが命取りにならんと良いがのう』
「…俺いつか死ぬのかい?」
『ははっ、そうではない』
狐狛は柔らかく笑う
初めてみる警戒の無い表情にオビは目を疑う
自分に容赦無く襲いかかった人間とは思えないのだ
「……あんたは、笑顔が綺麗だね」
『は…?』
「うん。見てて飽きない」
ニコリと笑顔を向ける彼に、今度は狐狛が驚く番だった
言葉の意味を理解した後、彼女の頬はじわりじわりと赤らんで行く
『っ…え、なん…』
「なーにその顔。俺変なこと言ったかい?」
『ぐ…白々しい…!!』
狐狛は自分のファーで顔を隠す
その姿は他から見れば可愛らしい姿だ
「狐狛嬢照れすぎじゃないかい?」
『うぬのせいじゃ!!』
狐狛はガタッと立ち上がり、扉へと向かう
『とにかく、当分は私がうぬの監視じゃから、頼むぞ…!!』
バタンッと勢い良く扉を閉めて、狐狛は部屋を出た
残されたオビはポカーンとしていた
ー・ー・ー
薬剤師見習いの試験二日目
白雪は今日も試験に取り組んでいる。その知らせを聞いたゼンは頑張ってるんだな、と微笑んでいた
『うぬはもう少し恋慕を隠せんのか』
「!!?」
そんな彼の横にひょっこりと現れた狐狛にゼンは飛び退く
近くにいた兵もびっくりしていた
「狐狛か…驚かすな」
「え、今、何処から…!?」
『おぉすまん。すぐここに来る為に最短で来たからのう…若王子や、オビは今日も大人しくしておる』
「お前はつくづく俺を名前で呼ばんな……そうか、大人しくしてるのか」
『じゃが…』
狐狛は少し言葉を濁す
何か問題でも起きたのだろうか、とゼンは不審がる
『…そろそろ外に出たくてウズウズしてる頃じゃろうなぁ…彼奴の性格上じっとしてられんのじゃ』
「は…?」
『というわけじゃ、せめて部屋からは出してやったらどうじゃ?』
彼女から出た言葉はオビを気遣う思いしかない
優しい顔をする狐狛を見たゼンは、何か特別な想いを抱えているのだろうか…と考える
けれど聞いて答える狐狛ではないと、彼は聞かずに"そうだな"としか言わなかった
「お、狐狛!」
こちらに気付いたミツヒデが狐狛に向かって手を振った
それにつられて木々も小さく手を振る
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Mizuna(プロフ) - 何度も読み返しても本当に面白いですね！続きが読みたいです！ (2023年1月30日 15時) (
レス) @page46 id: 0ed3c8b7be (このIDを非表示/違反報告)
まりねえ - 私も終わりなんて嫌です！ 頑張ってください。応援しています！ (2017年3月22日 22時) (レス) id: c914c93a5f (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - おわりなんてやですよ 頑張って下さい (2017年3月18日 10時) (レス) id: dcf699db89 (このIDを非表示/違反報告)
ヒナタ - おもしろいです！次の話も気になります！がんばってください！ (2016年9月24日 12時) (レス) id: a4a064b62f (このIDを非表示/違反報告)
つねさん(プロフ) - 犬夜○…？春月サンの作品すごくいいです大好きです頑張ってください！！ (2016年7月30日 23時) (レス) id: 45649277a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2016年3月20日 11時
