参ノ章 �� ページ22
「ゔ…ぅ…あれっ、俺は…」
狐狛に落とされた痛みで目が覚めた男はむくりと起き上がる
周りを見渡して自分が囲まれていることを悟ると彼はへらりと笑った
「いやぁー失敗したなぁ…」
「妙な動きはするなよ」
「しませんって。この人が俺を散々痛めつけたんでね」
ねっ?と男改めオビは胡散臭い笑顔を狐狛に向ける
けれど彼女はどうでもいいのか、オビの顔を見ない
「狐狛、この男に仲間は?」
『裏稼業の輩じゃから、集団行動はありえん。安心して拘束するとよい』
狐狛の口調の変化に驚いていたオビ
それと同時に既視感を抱いていた
何処かで見たその風貌を思い出せそうで思い出せない
『…白雪の所に一度戻る。うぬらは…』
「ゼンが盗み聞きしてるだろうから、私達も行くよ。この男の処分もどうするか聞きたいし」
『決まりじゃな。さて縛るか』
「えぇー、俺縛られちゃうんですかい?」
「逃げないとも限らないからな」
「逃げませんって。狐狛嬢に散々やられてこちとらヘトヘトなんですよ」
今もちょっとフラフラしますし。と言うオビの足は確かにおぼつかない
後頭部に衝撃を受けて、すぐ起き上がれたこと自体凄いことだ
このぐらいの反動はあって当然だろう
『狐狛、嬢…?』
「あれっ、あんたの名前狐狛じゃないのかい?」
『いや、あってはいるが…』
「じゃあ狐狛嬢でいいでしょ」
悪びれもなく言う彼に狐狛は背を向けて白雪を探しに行く
別に怒ったわけではないが、困惑はしていた
(昔は、私のことを狐ちゃんと呼んでいたから、その名残じゃな)
あの時より数段声の低くなった音で自分の名前を呼ばれることがあまりにも耳に残って
むず痒い
『狐狛嬢…ね』
嬢と呼ばれるような人間じゃない。と狐狛は笑いながらも嬉しそうだ
だって彼は、彼女に色んなことを教えてくれた恩人であり、狐狛にとってかけがえのない存在だ
それが恋愛感情だったか、親愛感情だったか、とうの昔に忘れてしまったが
『うぬは忘れてるんじゃろうけど、な』
クスクスと一人笑うその表情は、どこか切ない表情をしていたのだった
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Mizuna(プロフ) - 何度も読み返しても本当に面白いですね！続きが読みたいです！ (2023年1月30日 15時) (
レス) @page46 id: 0ed3c8b7be (このIDを非表示/違反報告)
まりねえ - 私も終わりなんて嫌です！ 頑張ってください。応援しています！ (2017年3月22日 22時) (レス) id: c914c93a5f (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - おわりなんてやですよ 頑張って下さい (2017年3月18日 10時) (レス) id: dcf699db89 (このIDを非表示/違反報告)
ヒナタ - おもしろいです！次の話も気になります！がんばってください！ (2016年9月24日 12時) (レス) id: a4a064b62f (このIDを非表示/違反報告)
つねさん(プロフ) - 犬夜○…？春月サンの作品すごくいいです大好きです頑張ってください！！ (2016年7月30日 23時) (レス) id: 45649277a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2016年3月20日 11時
