弍ノ章 �� ページ14
『白雪!!白雪ー!!』
狐狛は名を呼ぶ。けれど応答はない
そろそろ日が暮れる時間帯だ
これ以上森にいるのは危ない
『どこじゃ、白雪…!!』
走って走り続けた彼女の目の前に、古くなった豪邸が一つ
確信はなかったが、ここを尋ねるしかないと直感的に感じていた狐狛は戸を開けようとする
ガシャッ
『…!鍵がかかっておるのか』
家を一周してみると、一階の窓には格子がつけられていて、入ることは不可能だ
入るとするならば二階になる
狐狛は迷わず、木を伝って二階の窓から中に入った
『っと…さて、いない場合はどうしたものか』
辺りを見回す限りでは人の気配はない
ここに白雪がいない場合、ロスタイムになるだけだ
けれど彼女の勘はここだと叫んでいた
『……?』
誰かが階段を駆け上っている
敵かもしれない、と狐狛は刀に手を掛ける
「っは…!!」
出て来たのは赤髪のーー…
『白雪!!』
「あ…狐狛!!」
狐狛は白雪に駆け寄り、きつく抱きしめる
『よかった…無事で…』
「…ごめんね狐狛」
『よい。無事じゃったのだからな』
安堵の息をつく
けれど、ここでのんびりしてはいられない
『すぐにここから出るぞ。私に捕まっておれ』
「うん」
狐狛は白雪を抱えて、二階から飛び降りる
もう日は暮れきっていて辺りは薄暗い
「暗いね…」
『白雪、ランプは?』
「あ、さっき逃げる時に割っちゃって…マッチしか」
『仕方ない、私がーー…っ、白雪!』
白雪の背後から誰かが来ることを悟った狐狛は彼女の腕を引いて自分の腕の中に収める
「火ならある……ってなんか一人増えてんな?」
『成る程、うぬが白雪を攫ったか』
現れたのは狐狛とそう歳の変わらない青年
襟巻きを靡かせている
「あー確かあんたも愛妾候補だったっていう…」
『うぬに答える義理はなかろう』
白雪を離し、刀を抜く
瞳には震え上がるほどの殺気の色
「へぇ?あんたは随分勇ましいな。けどこの山でオレの足には勝てねえよ。さっきの薬も…大して効かねえもんだったみたいだしな」
「ー…!階段も…すぐ昇れたの?」
「いや?必要ねーよ。オレは一階の扉の鍵…持ってるからね」
男はニヤリと笑った
『姫、走れ!』
「っ…」
「あっ…」
走り出す白雪を追いかけようとする男を狐狛が塞ぐ
『名を名乗れ下郎。姫を攫った理由次第ではうぬを生かしては置けんがな』
「ちっ……誰が名乗るか…!」
狐狛を捕まえるために男は手を伸ばす
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Mizuna(プロフ) - 何度も読み返しても本当に面白いですね！続きが読みたいです！ (2023年1月30日 15時) (
レス) @page46 id: 0ed3c8b7be (このIDを非表示/違反報告)
まりねえ - 私も終わりなんて嫌です！ 頑張ってください。応援しています！ (2017年3月22日 22時) (レス) id: c914c93a5f (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - おわりなんてやですよ 頑張って下さい (2017年3月18日 10時) (レス) id: dcf699db89 (このIDを非表示/違反報告)
ヒナタ - おもしろいです！次の話も気になります！がんばってください！ (2016年9月24日 12時) (レス) id: a4a064b62f (このIDを非表示/違反報告)
つねさん(プロフ) - 犬夜○…？春月サンの作品すごくいいです大好きです頑張ってください！！ (2016年7月30日 23時) (レス) id: 45649277a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2016年3月20日 11時
