四十七枚目 ページ49
「というわけだよ」
『そう…よかった』
一通りの経緯を聞き、はぁ、と一息つく
ラジ王子も協力してくれていることには驚いた
本当に白雪を愛妾にしようとした時の彼とは大違いだ
「それから、これはオビから」
『これ…』
木々が差し出したのはずっと探してたバレッタ
オビが拾ってくれてたのか
「探してたの、これだったんだね」
『……悔しいけどね』
木々から渡されたバレッタを受け取って、そっと口付ける
本当に悔しい。こうやって自覚してしまうんだから
(事態はいい方向に向かっているのに、会えなくて寂しいなんて)
こんな感情、僕にあるなんてね
ーー
暫くして、部屋のドアが開けられる
用件は白雪にだけあるようだ
「なんかやばそうだったら、大声出して」
『…気をつけて』
僕らの言葉に白雪は頷く
白雪が出て行った後、僕は静かに耳を澄ませる
「…どう?」
『正面から国の船が来たって。ラジ王子もいるみたいだ』
断片的に拾った声をまとめると、こういうことになる
「前から思ってたけど、耳も目も良いよなぁ」
『そりゃあの場所にいればね』
「あ、じゃあ俺も練習とかすれば聞こえるようなるかな」
『それは君の頑張り次第だろ』
鹿月はなんでもしたがりで、興味のあることは全部実行する
こういう姿を見てると、助け出して良かったんだと改めて思うんだ
「場所?」
『うん。僕が住んでいた場所は森の中の村でね。風の音とか鳥の声に囲まれてたから、耳が良いんだ』
ついでに目も。と付け加える
戻ってきた白雪の頬には傷がついていた
どうやらウミヘビにやられたらしい
『僕はウミヘビの容姿は嫌いじゃないし、寧ろ敵対してなければ被写体にしたいぐらいだけど、白雪の綺麗な肌に傷を付けるのは感心しないよ。腹が立つね』
「わ、私は大丈夫だから…ね?」
「確かに白雪に傷をつけたなんて知れたら、ゼンが怒るね」
「き、木々さんまで…!」
ガタンッ
「「「『!?』」」」
船が突然揺れる
「な、なにっ!?なんだよ!?」
『っ…渦潮か…』
タンバルンの海に不規則に発生する渦潮“青の渦”
海の鉤爪にとっては、なんてことないんだろうけど、果たしてラジ王子達はどうだろうか
「う、うわっ!?」
『鹿月…!』
倒れそうになった鹿月を抱きかかえる
怪我をしてる方の腕で受け止めたから、少しばかり痛かったけどそうも言ってられない
『……いったい』
「うわぁっ!サクごめん!」
口に出てた
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つねさん(プロフ) - 1話目で菱田さん！！！！って叫びました。この作品好きすぎて辛いです涙出てきました応援してます！！！ (2016年7月29日 23時) (
レス) id: 45649277a8 (このIDを非表示/違反報告)
りりか♪ - おもしろいです！ (2016年5月6日 23時) (レス) id: 16d26bbe18 (このIDを非表示/違反報告)
ノンナ(プロフ) - めいこいですね！わかります！ (2016年3月21日 17時) (レス) id: 62b81bdc65 (このIDを非表示/違反報告)
梛(プロフ) - 凄く面白いです！！主人公ちゃん可愛いですね！これからも楽しみにしています。頑張ってください！ (2016年2月17日 0時) (レス) id: 63f277ad3e (このIDを非表示/違反報告)
春月(プロフ) - 零雨さん» コメントありがとうございます。誤字指定ありがとうございます!確かにおかしかったですね(笑) (2016年2月12日 21時) (レス) id: 3cb9b28fc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2016年1月26日 18時
