四十二枚目 ページ44
Side:Zen
「いたな、オビ」
「…申し訳ありません、主」
鳥が示した先にオビがいた
無事合流が出来たのは良かったが、なんて声を出すんだ
反省してるのは大いに結構だが、今はそうじゃない
俺はオビに近づき、頭を思い切り殴る
「っ!?」
「ははっ、お返しだ。ミツヒデ、木々経由のな」
少しは八つ当たりも入っている。とは言わないが
「なんて声してるんだよ、お前は。そのまま会ったら怖がられるぞ」
「…お嬢さんに?」
「アホ、リュウにだ」
そう言うとオビはようやく表情を和らげた
「"主からお嬢さん宛の包みを預かって行きます"。お前の書き置きは毎度短すぎるが、助かった」
「はい」
立ち上がったオビの手には胡桃石の鈴
キハル殿から白雪にと預かったものだ。こんな所で役に立つとは思わなかったな。何事もやるもんだ
笛を鳴らして、鳥を下ろす
「まさか主がその技を習得しているとは」
「キハル殿に教えてもらった。こっそり兵に混じってな」
バサリ。俺の腕に鳥が降り立つと同時に、オビの肩にもう一羽降りてくる
「っえ…!?」
「?もう一羽…?」
俺は一羽しか飛ばしていない上に、俺の方に降り立たない。なら誰が
「っ…まさか、お姉さんが…?」
「サク?」
そういえばあいつも度々、練習の時に見かけたような気がする
「タンバルンに行く前に、このブローチを貰いまして…もしかしたらこれに反応したかと」
オビの襟巻きにつけてあるブローチ
胡桃石が綺麗に加工されたそれは、揺らせば小さく音が鳴る
「なるほどな。どうりでこの鳥、足に紙が括り付けられてるわけだ」
紙を取って、オビに渡す
紙を広げて読んでると、オビはため息をついた
「お姉さん、自分から捕まりに行ったみたいです。お嬢さんと鹿月を助けたいからと」
「…だと思った。あいつならやりかねん」
狙われている身だと言っていたサク
ラジが話していた海の鉤爪を正面から潰しに行く気だ
前回もそれで大怪我して、兄上に謹慎食らってたんだがな
「…サク」
ボソリとオビはブローチに手を当てながら、サクの名前を呼ぶ
(もしかしてオビは…)
「まあ、あいつなら大丈夫だ。なんたって兄上の護衛役だからな。強いぞ」
何処からそんな力が出るのかってぐらいに力も強い
幼少は腕相撲でよく負けていたな
今は五分五分だ。本当だぞ?
「は…?兄殿下の…?」
「詳しくはサクに聞いてくれ。さてと」
ここから本題に入る
俺は少し遠くにいる男二人を見据えた
「失礼、そちらは?」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 379人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
つねさん(プロフ) - 1話目で菱田さん！！！！って叫びました。この作品好きすぎて辛いです涙出てきました応援してます！！！ (2016年7月29日 23時) (
レス) id: 45649277a8 (このIDを非表示/違反報告)
りりか♪ - おもしろいです！ (2016年5月6日 23時) (レス) id: 16d26bbe18 (このIDを非表示/違反報告)
ノンナ(プロフ) - めいこいですね！わかります！ (2016年3月21日 17時) (レス) id: 62b81bdc65 (このIDを非表示/違反報告)
梛(プロフ) - 凄く面白いです！！主人公ちゃん可愛いですね！これからも楽しみにしています。頑張ってください！ (2016年2月17日 0時) (レス) id: 63f277ad3e (このIDを非表示/違反報告)
春月(プロフ) - 零雨さん» コメントありがとうございます。誤字指定ありがとうございます!確かにおかしかったですね(笑) (2016年2月12日 21時) (レス) id: 3cb9b28fc9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：春月 | 作成日時：2016年1月26日 18時
