四十一枚目 ページ43
外に少し顔を出し、周りを見渡す
今のところ誰もいないけれど注意しなければ
「出たら左に走って、一気に飛び降りるよ」
白雪も鹿月の言葉に頷く
『僕の後に続いて…何があるか分からないから気をつけて』
甲板に出て、左に走る。けれど、そこで上から何かが来ることに気づいた
鎖鎌の音だ
『っ…!!』
足を止めるのが一歩遅く、右腕に痛みが走る
「サク!!」
『大丈夫。軽めで済んだ』
飛んで来たのはウミヘビの鎖鎌
腕を押さえながら上を見上げると彼女らがいた
『そう簡単に逃げさせてくれるとは思わなかったよ…』
彼女は上から僕らを見下ろす
これは怪我なく助かるのは難しいだろう
現に僕がもう傷を作った
「そんなに急いでどこに行くんだい?活きのいいこったぁ…頭から丸呑みしたくなっちまう」
『…名に相応しい脅しだな』
ーー
Side:Obi
森の中を進んでどのぐらい経っただろうか
まだ目的地に着かない事に苛立ちが募って行く
「……おい…!」
「もうすぐだ」
その声と同時に聞こえてくる馬の嗎。見上げれば崖の上に誰かがいる
先頭にいるのが頭目だろうか
イトヤが事情を粗方話した所、やはり海の鉤爪という可能性が強いらしい
「鹿月の居場所を知って、連れ戻しに来たんだろうよ」
山の獅子の頭目、武風は立ち上がり部下達に指示を出す
「大将は」
「少し気になる場所がある。お前も来てくれ。それと、あいつも捕まってるのか」
「恐らくは。白雪と鹿月を助けるために自分から捕まりにいったかと」
「一回大怪我したのに、執念深いっつーか」
二人の話の内容は分からない
それに気づいた武風は俺に問いかけた
「お前さん、サクからは何も聞いてないのか」
「なん…」
なんで、この男の口からサクの名前が出るのか
「やっぱりな。あいつは自分の身の丈話を嫌うからなぁ」
武風は苦笑する
本当にワケが分からなくなってきた
分かることは捕まっていると言うことだけだ
山の獅子の連中が馬で村に向かった後、武風とイトヤは別の場所に向かう事になった
俺は空を見上げる。まだ来ていない
「そっちのあんた」
「…?」
「お前さんのことはイトヤに聞いた。俺たちの情報を城に持ち帰るか」
「あんたらから目を離すわけないだろ」
じゃなきゃ意味がない
「…関係ねぇ話だが、お前さんサクの恋人か?」
「……違う」
まだ俺が一方的に思っているだけ
けれど武風はそんな俺を見て優しげに笑った
その表情は何を意味するのだろう
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つねさん(プロフ) - 1話目で菱田さん！！！！って叫びました。この作品好きすぎて辛いです涙出てきました応援してます！！！ (2016年7月29日 23時) (
レス) id: 45649277a8 (このIDを非表示/違反報告)
りりか♪ - おもしろいです！ (2016年5月6日 23時) (レス) id: 16d26bbe18 (このIDを非表示/違反報告)
ノンナ(プロフ) - めいこいですね！わかります！ (2016年3月21日 17時) (レス) id: 62b81bdc65 (このIDを非表示/違反報告)
梛(プロフ) - 凄く面白いです！！主人公ちゃん可愛いですね！これからも楽しみにしています。頑張ってください！ (2016年2月17日 0時) (レス) id: 63f277ad3e (このIDを非表示/違反報告)
春月(プロフ) - 零雨さん» コメントありがとうございます。誤字指定ありがとうございます!確かにおかしかったですね(笑) (2016年2月12日 21時) (レス) id: 3cb9b28fc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2016年1月26日 18時
