三十七枚目 ページ39
(あった…馬が二頭…間違いない)
僕は息を潜め、近くの茂みに隠れる
少し先の木の根元に眠っている白雪がいた
その近くに鹿月とイトヤもいる
(全くもって困ったやんちゃ坊主だ)
鹿月が白雪を攫った理由は推測できる
だからと言って有無を言わせず連れて来たのはいただけないし、第一あの人が連れ去られた白雪を目の前にして喜ぶとでも思っているのか
「睡眠薬、後どのくらい持つ」
「んー…数時間って所かな」
「ならいい。起きた時に騒がれるのは面倒だからな」
「空になっちゃった」
鹿月は水筒をひっくり返す
イトヤは汲んでくると言って、その場を去った
鹿月と白雪の二人だけ。絶好のチャンスだ
『!』
(……少し離れたところから気配が二つ…?鹿月に近づいてる…)
ここで飛び出すのは懸命じゃない
少し様子を見よう
「はー…やっと帰れる」
鹿月は微笑んだ
「後少しの辛抱だ。あんたのいるべき場所に連れていってやるからな……親父もきっと喜ぶ」
完全に安心しきっている鹿月の後ろにある気配はけしていいものではなかった
(海だ)
状況を見ながら、紙にペンを走らせる
がさりという草木の音に鹿月はイトヤが帰って来たのだろうと思って振り返る
けれどその先は
「っ…お前…!!」
タンバルンの海賊。海の鉤爪だった
彼らは鹿月を殴って気絶させると、白雪も連れて行ってしまう
くそ、嫌な予感はこうも的中するか
『ゼン、オビ…悪いね』
最後の一行を書き終え、笛を咥えて音を鳴らすと綺麗な蒼い鳥が滑空して僕に止まる。
ユリス島の鳥。実はこっそりとキハルに使い方を教えてもらっていた
(なんでもやるもんだ)
紙を足に括り付けて再び笛を咥える
『音のなる場所へ。オビの元へ…!』
澄んだ音と共に鳥を飛ばす
後は彼らがやってくれると信じている
どうせ僕が奴らに恨まれてる身だ。だったら自分から行こう
木を使って彼らを追う
そう遠くには行ってなかった様だ
『…やぁ』
「「!!?」」
『久しぶり。あ、そっちの君は見たことあるな』
「だっ、誰だてめぇ!!」
背後を取られた彼らは剣を抜く
『やだな。こんな丸腰相手に剣を使うんだ』
「誰だって聞いてんだろうが!!」
『そんなに名前が聞きたい?じゃあ教えてあげる』
殺気、漏れ出てないといいんだけど
『
「なっ…
『ほら、連れてけよ。海の鉤爪』
睨むと彼らは怯えながらも僕を連れて行く
ここが正念場だ
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つねさん(プロフ) - 1話目で菱田さん！！！！って叫びました。この作品好きすぎて辛いです涙出てきました応援してます！！！ (2016年7月29日 23時) (
レス) id: 45649277a8 (このIDを非表示/違反報告)
りりか♪ - おもしろいです！ (2016年5月6日 23時) (レス) id: 16d26bbe18 (このIDを非表示/違反報告)
ノンナ(プロフ) - めいこいですね！わかります！ (2016年3月21日 17時) (レス) id: 62b81bdc65 (このIDを非表示/違反報告)
梛(プロフ) - 凄く面白いです！！主人公ちゃん可愛いですね！これからも楽しみにしています。頑張ってください！ (2016年2月17日 0時) (レス) id: 63f277ad3e (このIDを非表示/違反報告)
春月(プロフ) - 零雨さん» コメントありがとうございます。誤字指定ありがとうございます!確かにおかしかったですね(笑) (2016年2月12日 21時) (レス) id: 3cb9b28fc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2016年1月26日 18時
