二枚目⭐︎ ページ4
「や、おねーさん」
『………』
いつもの中庭に僕と、目の前にオビ
ここ最近、彼は僕の所によく来る
…気に入られたのだろうか
「今日は何描いてるんだい?」
『風景画。どっかの貴族さんに王宮で美しい場所を描いてくれって』
「どっかのって…取引先なのに覚えてないのかい?」
『僕は、絵を見て笑顔になってくれる人が好きなんだ。僕の絵を自慢の道具に使いたいだけの貴族なんか覚えようとも思わないね』
「でも描くんだね」
『正直お金は欲しいし、依頼主が笑顔にならなくても他の誰かが笑顔になればそれでいい』
「現実主義で理想主義。面白いねぇ」
オビは楽しそうに笑う
僕の何が彼の好奇心に触れたのだろうか
『そういえば女の子がゼン王子に謁見を申し込んだとか』
「キハルっていう女の子だよ。鳥を使役するとかなんとか」
『ふぅん…』
オビは椅子に座る僕の横に座る
手には林檎がある。どこからか取ったのか、貰ったのかは知らないけど…
『綺麗な赤だ』
「ん?お姉さんも一口いるかい?甘いよ」
『じゃあ、貰おうか』
オビの手首を掴んで、自分へ引き寄せて齧る
甘い蜜が喉を伝う
『確かに、甘いね』
手首を離して、また絵に戻る
「……こういうの気にしないんだ」
オビの言葉は僕には届いていない
ーー
数時間経って夕暮れ時
いつ間にかオビもいなくなっていた
(笛の音…?)
澄んだ音を耳が拾う
空を見ると、夕暮れの中に青々とした鳥が舞っていた
『…美しい』
思わず手を伸ばす。あの鳥を描いて見たいと思う
するとその鳥は僕に気づいたのか、僕の手にそっと降り立った
近くで見るとやはり美しい
『君のその羽根はとても綺麗だね。澄んだ青空と青々とした生い茂る若草のようだ…心が安らぐような色をしてる』
エプロンのポケットに入っていた鳥用の餌を差し出すと、少し摘まんだ。人慣れしているということは飼われている子だろう
『君を描いて見てもいいかい？』
「キュウ」
『ふふ、ありがとう』
そうしてスケッチブックに鉛筆を走らせる
「あ、いた!すみませーんっ」
暫くして、遠くの方から女の子がこちらに寄ってくる
普通に考えてこの鳥の持ち主だろう
「ポポ、こんな所にいたのね…すみません、この子が…」
『別にいいよ。君の鳥?』
「えぇ。私の友達のポポよ」
『ポポ…君にピッタリの名前だね。そして、君はキハル。かな?』
そう問いかけると女の子は目を見開く
どうやら当たったみたいだ
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つねさん(プロフ) - 1話目で菱田さん！！！！って叫びました。この作品好きすぎて辛いです涙出てきました応援してます！！！ (2016年7月29日 23時) (
レス) id: 45649277a8 (このIDを非表示/違反報告)
りりか♪ - おもしろいです！ (2016年5月6日 23時) (レス) id: 16d26bbe18 (このIDを非表示/違反報告)
ノンナ(プロフ) - めいこいですね！わかります！ (2016年3月21日 17時) (レス) id: 62b81bdc65 (このIDを非表示/違反報告)
梛(プロフ) - 凄く面白いです！！主人公ちゃん可愛いですね！これからも楽しみにしています。頑張ってください！ (2016年2月17日 0時) (レス) id: 63f277ad3e (このIDを非表示/違反報告)
春月(プロフ) - 零雨さん» コメントありがとうございます。誤字指定ありがとうございます!確かにおかしかったですね(笑) (2016年2月12日 21時) (レス) id: 3cb9b28fc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2016年1月26日 18時
