二十七枚目 ページ29
『巳早ぁ!!』
部屋の扉を思い切り乱暴に開けると、中にはその音に驚いたゼン王子や白雪たちがいた
そこで、頭が冷静になる
「よぉ、久しぶり。サク」
『ついさっきまで君の名前も顔も忘れてたけど』
「あっれ。雰囲気変わった?」
巳早にだけ分かる様に睨むと縮こまった
この男はうっかりと何かを口に出してしまいそうだ
『ゼン王子、悪いけどこの男と二人にしてくれ』
「なっ、お姉さんなにを…!!」
『そうだな…ミツヒデだけ付けて貰えればいいから』
ゼン王子を真正面から見る
これは僕の抱える問題だと、そう瞳で訴えると彼は仕方なしといったように椅子から立ち上がった
「……分かった。俺と白雪は兄上に呼ばれている。そっちは任せたぞミツヒデ」
「主!?」
「あいよ」
抗議するオビを木々が引きずって持っていき、ゼン王子と白雪もそれに続く
部屋が静かになった所で、僕は椅子に座って足を組む
『で?僕になんの用?それとも……"私"に何か用?』
「…やっと本性が出たな。
巳早は笑った
だからその名前で呼ばれるの嫌いなんだって。言わないけど
「殿下方にも話したけど、白雪が狙われてるってこと聞いた?」
『大体は。僕のことは何?鹿月が喋ったの』
「いや?それとは別の図体でけぇ男の話が耳に入って来てな」
『…黒猫がクラリネスにいるらしいから、協力仰ごうって?』
僕の言葉に巳早は驚く。合ってるのか
ああ、じゃあ鹿月ってあの鹿月だし、図体デカイ男はアイツか
「お見事。黒猫といえばサクがそんな名前で国で仕事をしてたからもしかしたらと思ったけど…ビンゴだったな」
『お生憎様、僕の仕事は宮廷画家だ』
「おぉ、怖い。でも、そうとは行かねえかもよ?サク」
ノックが三回、部屋に響くと巳早がニヤリと笑う
入ってきたのはイザナ殿下付きの侍女だった
「失礼いたします。サク様、イザナ様がお呼びです」
「ほら来た」
「サクさん…」
ミツヒデが不安そうに名前を呼ぶ
心配してくれるのはありがたいけど、イザナ殿下の方でも情報が入ったのだろう
こうなっては、僕のすることは決まってる
『すぐ行く。ミツヒデ、巳早をよろしく』
「あぁ」
「じゃぁな、サク。暇が空いたら俺と遊んでよ?」
『そんな時間はないよ』
暇なんて出るはずもない
部屋を出て足早にイザナ殿下の元へ向かう
この先待っているのは、そんな簡単な道じゃない
けれど僕は、それでも進むしかない
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つねさん(プロフ) - 1話目で菱田さん！！！！って叫びました。この作品好きすぎて辛いです涙出てきました応援してます！！！ (2016年7月29日 23時) (
レス) id: 45649277a8 (このIDを非表示/違反報告)
りりか♪ - おもしろいです！ (2016年5月6日 23時) (レス) id: 16d26bbe18 (このIDを非表示/違反報告)
ノンナ(プロフ) - めいこいですね！わかります！ (2016年3月21日 17時) (レス) id: 62b81bdc65 (このIDを非表示/違反報告)
梛(プロフ) - 凄く面白いです！！主人公ちゃん可愛いですね！これからも楽しみにしています。頑張ってください！ (2016年2月17日 0時) (レス) id: 63f277ad3e (このIDを非表示/違反報告)
春月(プロフ) - 零雨さん» コメントありがとうございます。誤字指定ありがとうございます!確かにおかしかったですね(笑) (2016年2月12日 21時) (レス) id: 3cb9b28fc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2016年1月26日 18時
