十九枚目 ページ21
夜会当日
開始1時間前
支度を終えた僕は姿鏡で服装の乱れがないか確認をする
『意外と着れたな』
久しぶりに袖を通す護衛服は今も変わらずぴったりだ
上は体の線に沿う形の服の上からジャケットを羽織って、下はロングズボンに、太ももまであるブーツだ
身軽でいられるようにとイザナ殿下がわざわざ発注したものだった
『やっぱりちょっとボロいな』
目立たないけど、少しほつれている
『ミツヒデとゼン王子、驚くかな』
この服は木々が来る前まで着ていたもので、それ以降彼らの前で着た記憶がない
だから木々は初見だ
『そろそろ殿下の所に行かないと…』
扉を開けて、周りを確認する
僕の部屋とオビの部屋はなかなかに近い
鉢合わせたら面倒だ。特に今日は
『大丈夫そうだな』
部屋を出て、イザナ殿下のいる部屋へと向かう
ーー
コンコンコン
いつも通りノックを三回
『失礼します。イザナ様、サクです』
「あぁ、入れ」
許可を得て、扉を開ける
イザナ殿下と目が合うと彼は目を細めた
「驚いた。まだ入るんだな」
『成長はとっくの昔に止まってますが?殿下は僕をいくつだとお思いで?』
「あぁ、そういえばお前、多く見積もって三十代だったな」
分かっているのに言うところに嫌味か？と思ったけど、時間もないのでスルーすることにしようか
『念のため聞きますが、夜会中のご予定は』
「夜会に顔を出して、挨拶が終わり次第自室に戻る。その後はお前とゆっくり踊る時間だ」
『……踊るのは確定ですか』
「あぁ。ドレスも用意させてあるからな」
漏れそうになったため息をグッと飲み込む
装飾は嫌いだけど、彼のセンス次第だ
『時間ですね』
「ああ」
時間になり、イザナ殿下は会場へと向かい、僕もそれに後ろから続く
会場前の扉まで来て、先客がいるのに気づいた
「兄上」
ゼン王子は何時ものようにミツヒデと木々を連れて、イザナ殿下を待っていた
二人揃って入場するのが決まりであるから
「早かったなゼン」
「えぇ。…なっ…!?」
視線をイザナ殿下から後ろに動かしたことで、王子が僕に気づいた
それに続けて、側近二人も気づく。あぁ、木々があんな露骨に驚くのは珍しい
「兄上、今日は珍しくサクをお連れで?」
「あぁ、たまにはいいだろう。とは言っても何年ぶりか分からんが」
僕の記憶が正しければ五、六年ぶりだろうか
「さて、では行こうか」
それを合図に僕とミツヒデは二人で扉を開けて、王子達を中へと促す
さて、今夜はどうなるのか
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つねさん(プロフ) - 1話目で菱田さん！！！！って叫びました。この作品好きすぎて辛いです涙出てきました応援してます！！！ (2016年7月29日 23時) (
レス) id: 45649277a8 (このIDを非表示/違反報告)
りりか♪ - おもしろいです！ (2016年5月6日 23時) (レス) id: 16d26bbe18 (このIDを非表示/違反報告)
ノンナ(プロフ) - めいこいですね！わかります！ (2016年3月21日 17時) (レス) id: 62b81bdc65 (このIDを非表示/違反報告)
梛(プロフ) - 凄く面白いです！！主人公ちゃん可愛いですね！これからも楽しみにしています。頑張ってください！ (2016年2月17日 0時) (レス) id: 63f277ad3e (このIDを非表示/違反報告)
春月(プロフ) - 零雨さん» コメントありがとうございます。誤字指定ありがとうございます!確かにおかしかったですね(笑) (2016年2月12日 21時) (レス) id: 3cb9b28fc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2016年1月26日 18時
