【スタミュ】黒崎蘭丸の従兄弟が綾薙に居るⅥ (ページ41)

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キッチンに隠れてページ41

「ドキドキとかしないわけ?この状況で」

『いや、ドキドキもなにもないだろ…男だし』

「どうみても、男の体つきしてないのに?」

その言葉に哀葉はハッとする
己の性別がバレる可能性のある、適切以上の密着が今現在起こっていることに
ただ、ここで暴れれば更なる疑いをかけられるので、大人しくするしかない

『……』

「あれ、黙っちゃった」

『…みなみん面倒くさい』

「酷いなぁ」

笑いながら南條は体を離すと、哀葉はほ、と息を吐く
ほぼお見通しの状態なのだろうが、だからとて開き直る気はなかった
空閑や申渡のように早々に開き直らないのは、南條の底が知れないからである。多分それは、彼自身も理解している事だろう

『手伝うなら、野菜切って。んで、その後は夕飯の時間まで大人しくしてて』

「うーん。見事な嫌われっぷり?いや、警戒されてるのか」

『…南條』

「はいはい。やらせていただきます」

(今の、和泉が見てなくてよかった…)

彼が現場を目撃していたら、何が起こるか分かったものではない

まさかこの発言が、フラグになるなんて哀葉は思わないだろう

夕食が終わる。この時には、揚羽も姿を見せていた。その隣には星谷がいて、二人楽しく話をしていた
それを横目に見ながら、哀葉は片づけられた食器を洗っていく
すると、彼女の顔に影が差す。顔を上げれば虎石が立っている

『和泉?』

「手伝う。一人だと大変だろ」

『うん。ありが……っ!?』

がた、と小さく音を立てながら、哀葉の視界がぐるりと回る
気付いた時には、尻餅をついた哀葉の上に虎石がのしかかっていた。彼女が何か抗議する前に、唇は塞がれる

『んぅっ!?ん、んーっ…!』

終わりそうのないキスに抵抗しようにも手を離せばバランスを崩す状態であり、十分に身動きも取れずにされるがまま
その間にも、虎石の猛攻は止まらない。彼の片手が哀葉の服の中へ入り込むのを感覚で悟ると、流石に身の危険を感じだ哀葉は足を出来る範囲バタつかせる

(人がまだいんのに…!)

キッチンを挟んだ向こう側には、まだ数名雑談している面子がいる。大きな音を立てでもしたら、こちらに来てしまうだろうことは伺える
それだけは避けたかった

『はっ、いずみっん、やめ』

静止は聞き入れられず、服の中を蠢く手は止まらず

『っ、部屋、いってからにしてっ…!』

「!」

わずかな息継ぎの間に、そう告げると虎石の動きが止まる
そして、にやりと笑った

「今の、後悔すんなよ?」