【アルスラーン戦記】月と詩を君と【改訂版】 (ページ49)

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十七ページ49

翌朝
エラムの作った朝食を食べながら、今後の向かう先を決めていた。
「少し遠いが東へ。万騎長キシュワードのいるペシャワール城を目指す！」
ペシャワールにはキシュワードやバフマンがいる上、現時点でのパルスの最後の砦だ。兵の人数も申し分ないだろう。

そこでふと、万騎長といえばで思い出したことがありアルスラーンに話しかける。
『アルスラーン』
「なんだ？」
『この所色々あって言うのを忘れていたのだが、お前に頼みがあるのだ』
「頼み…？」
アルスラーンは首を傾げる。
私は、自分のケープの左胸についている称号を指差し。
『私の万騎長総都督の称号を取り消してくれないかい』
「え」
「「はぁっ！？」」
アルスラーンだけでなく、ダリューンやナルサスも驚いた声を出した。
少し遠くで話を聞いていた他の三人も驚愕の顔を浮かべている。
『本当はこの称号を王都を出る際、サームに預ける予定だったのだが、結局預けられずに出てしまってね。私個人で外せるものでもないしお前に頼みたいのだ』
「だ、だが…」
「ダメだダメだ！断固として拒否するぞ！お前が抜けては自己中心的な者が多い万騎長がバラバラになる！」
ナルサスがアルスラーンに変わり、食ってかかる。
その横でダリューンも頷く。
「俺も反対だ。しかも何故今なのだ」
『いや、今思い出したからなのだが…しかし、私が抜けたらバラバラになるとは些か言い過ぎではないかい?』
「「言い過ぎな訳あるか！」」
見事なほど一致する二人。

「お前が何を思ってそう進言するかは察するがな、もう少し粘ってくれ」
『……』
万騎長から離れたかったのは、私の身勝手な理由。
自分の仲間が次々と失われる喪失感に"ガタ"がきていて、万騎長の指揮者である責任も合いまって、負担は大きくなっていた。
ナルサスにはそれがわかっていて尚も私にまだ立てというのだ。
『軍師殿は人使いが荒いな』
「それはお前もだろう総都督殿」
これは、全員総意で反対。ということだろう。
まあいいや。王都奪還したら即辞めてやろう。
『仕方が無いね。諦めることにするよ』
「そうしてくれると、私もありがたい」
アルスラーンにまでそういわれてしまったのなら、私にはもうどうしようもなかった。