【アルスラーン戦記】月と詩を君と【改訂版】 (ページ24)

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七ページ24

『それから、奴隷の謀反とカーラーンの裏切りで内側から瓦解して王都は落ちた。実に呆気ない最後だよ』
「そうか…おおよそは予想していた通りだな」
ナルサスは深く息をついた。
話していない事柄がいくつかあるけど、これは今話すべきじゃないだろうからやめておいた。
『で？カーラーンを捕らえるのだろう？どんな策を講じたのだいナルサス』
「協力してくれるか」
『何のために来たと思っているのだよ。私はアルスラーンに忠誠を誓った万騎長総都督ペルールだぞ？自らの主に力を貸さずにどうするというのだよ』
わざとらしく呆れた素振りをすれば四人はクスリと笑った。うん、今はこれでいい。
「ペルール。私に力を貸してくれるか？」
アルスラーンがまっすぐに私を見つめてくれる。
『あぁ、お前の為なら』
そっと跪き、改めて忠誠を。
『この身を捧げましょう』

「というわけでお前にはエラムと共に殿下の護衛を任せる。異論はないな？」
作戦の全てを言い終えた後、ナルサスはそう言った。
こういう言い方の時はこちらの反論は認めない。まあ反論するような策でもない。
『あぁ。異論はないよ。逆に下で敵を薙ぎ払う方が自殺行為だ』
肩を竦めて苦笑する。ダリューンも同じような表情を浮かべていた。
「ちなみにお前、どこまで見える？」
彼が問うので崖の下を見やるが、何も見えないため頭を振ると、だろうなという顔をされた。
「まあお前の目の事は今に始まったことではないからな。その辺はわきまえている」
「いざとなれば獣並みの勘で戦うような奴だがな」
『それは褒められているのかい。貶されているようにしか聞こえないのだが』
私は夜目が効かない。それこそ足元がフラつくぐらいには何も見えない。
今は慣れたもので目が使えない代わりに鼻や耳や肌で空間把握をしているけど、やっぱり戦闘で不利なことには変わりがない。
それに、突然の暗闇には未だに耐えられない。
「では俺は少し様子を見てくるとするか…皆も各自配置についてくれ」
「あぁ。了解した」
「うむ」
「わかりました」
『わかったよ』
ナルサスはそのまま山岳の入り口に向かい、ダリューンも持ち場へ向かった。
私達三人も森の中に身を潜めて、カーラーンの部隊が来るのを待った。