いち ページ3
とある日、私千住寧音は先の任務で怪我を負い、蟲柱 胡蝶しのぶ様のお屋敷の蝶屋敷を訪れていた
見てもらったところ、肋の骨が折れていたらしい。道理で派手に痛い筈だわ
「はい。これで大丈夫です。今日から三日は過度に動かさないこと。いいですね?」
眉を釣り上げて、私を睨む彼女は何やら機嫌が良くない
最近噂で聞いた、新規隊士が養生しているのと関係しているだろうか
『Yes!愛らしい貴女の頼みなら何でも聞くわ。しのぶ様』
手当てしてくれた小さな手を取り、騎士の真似事として口付けると彼女は驚き、少し頬を染めた
うん。So cute
「や、やめてくださいっていつも言ってるでしょう」
『ふふ、私との付き合いも長いのに、未だ照れてしまう貴女は可愛いわね』
思わず声に出してしまうと、しのぶ様は息を整えて笑顔を作ってしまう。あぁ、いつもの彼女に戻ってしまった
「そんな元気があるのなら、私の頼みを聞いてくれますよね?寧音」
『えぇ!肋が派手に痛い以外は元気だもの!何なりと言ってください』
「皮肉を間に受けないでください……今、新入隊士が先の哪吒蜘蛛山で重症を負ってまして、二名ほど手がかかると言うか、なんというか…ちゃんと大人しくしているのか見てきてほしいのです」
やっぱり、彼女の最近の悩みのタネはその子達らしい。私は二つ返事で了承し、診療室を出る
『それじゃ、また来るわmy dear』
ぱちんっとウインクをしのぶ様に贈るのも忘れずに
ーー
しのぶ様に教えられた部屋をノックして入ると、この蝶屋敷で働くアオイが丁度薬を持ってきていた頃合いだった
『しつれ「やだよーーー!!それすっげぇ苦いじゃん!!1日の摂取量多すぎない!!?苦すぎて死んじゃうんですけど!!?」…Oh』
と、同時に耳をつんざくような派手な悲鳴にキーンと頭が痛くなる
なるほど、手がかかる一人目は彼か
「何度も仰ってますが、善逸さんが一番重症なの自覚してますか!!?このまま手足が短いままでも良いなら構いませんが!」
「それもいやーー!!だけど苦過ぎるんだよぉーー!!」
これを毎度繰り返しているとなるとアオイも大変だろう。派手に頭の痛い話だ
「〜〜っ、だ」
『アオイ、怒り過ぎると体に悪いわ。cool down』
「っ!あ、寧音さん…!」
今にも咆哮しそうな彼女の肩に手を置き、宥めるのを試みる。瞳に私を写して、少し冷静を取り戻したようだ
続く お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←序章
8人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:春月 | 作成日時:2019年11月3日 23時