外伝集 (ページ33)

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夏祭り続の続ページ33

「で?まずは何する?それともなんか食べるか?」

神社に着き、虎石は問う

『そうだな…まあ、そろそろ腹が減ってきたころだろうから、腹ごしらえと行こうか』

「りょーかい。そんじゃ、はい」

虎石は哀葉に向けて手を出す
哀葉は少し躊躇しながらも、そっと手を添えた

二人が最初に手をつけたのは、定番の焼きそば。その次はたこ焼き、フランクフルト、イカ焼き…とまぁ、ある程度の量を調達して簡易的な食事場所に腰を下ろす

「結構買ったな?食えるか?」

『まぁ、平気だと思うけど…』

二人仲良く手を合わせていただきます、と言って口をつける
虎石はともかく、哀葉にとっては久しぶりなお祭りの食事は新鮮にも近かった

『ん～っ…美味しい…!』

「そーいや久しぶりだっけ?祭り」

『ん?うん。十年ぶりぐらいじゃないかな?』

「道理で子どもみたいに笑うわけだな」

虎石はくつくつと笑って、彼女の頬についたソースをそっと指先でふき取る
気づいていなかった哀葉は、恥ずかしさに頬を染めながらも食べ進める

(…年下に子供扱いされるとは……)

デザート用に買っておいたぶどう飴を口に含みながら、少し複雑な顔をする

『あ、これ美味しい』

「ブフッ」

『ちょ、笑うなよ!!』

「っはは、わりーわりー。不機嫌な顔してたくせに、食べた瞬間頬が緩むから……くく」

また子供っぽいと笑われた哀葉は今度こそむくれる
虎石からそっぽを向いて、ぶどう飴を頬張る

「哀葉、悪かったって。それ俺にもくれよ」

『残念。もうこれで最後』

そう言って彼女はパクリと最後の一個を口にする
彼女からの細やかな仕返しに、虎石はあまり動じず、彼女との距離を詰める

「じゃ、それ貰う」

『へ…んむっ』

ぱくり
哀葉のグロスで輝いた唇にかぶりつく
彼女が逃げようとするも、後頭部に手を回されて動けない
彼のキスを受け入れる他ない

『ん、ふぁ…』

「あま…」

虎石はそう言いながら、離れる
いつの間にか哀葉の口の中からぶどう飴がなくなっていた

『あ、あっ!?』

「油断しすぎ」

カリ、と音を立てて虎石はそれを咀嚼する

『っ、い、和泉のばかっ…!!こんな人のいる場所で…!!』

「お前が意地悪するからその仕返しだっつーの」

『意地が悪いのはどっちよ!』

耳まで真っ赤な顔の彼女に、虎石は満足げに笑う

(今日のお前は大人っぽく笑うから、こっちは気が気じゃないんだよ。ばーか)

とは、口に出しては言わなかった