外伝集 (ページ29)

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【スタミュ】エイプリルフール② ページ29

『はい、どーぞ』

出来上がったオムライスを置く
いつもこいつが食べる量より遥かに少ないが、猫が食べる量にしては多い

「にゃ」

それでも別に気にしてないのか、少し早めのペースで食べて行く
俺はその横でオムライスを頬張る
なんとなく、テーブルで食べるのは気が引けた

『オムライス食う猫って絵面的に妙だな』

「にゃ」

『呑気なこと言うなって?無理だろ』

「フーッ」

毛を逆立てた赤トラ。多分怒った
なだめるために人差し指で頭を撫でる
気持ち良かったのか大人しくなった

『そうやってると猫だなー』

「んにゃっ!?」

『いって!お前本気で猫パンチすんなよ!!』

これでも女子だぞ!!とは思うが、いつも女子らしいことをしないから強くは言えない
夕食を食べ終えた俺たち。赤メッシュはオムライスをペロリと平らげた
さすが中身は育ち盛りの男子か

『このあとどうするかなー…戻るまで待つか』

「なぁ～」

『あ、でも戻った時にお約束の素っ裸とかやめてくれよ?そういうのいらないから』

「んにゃ…」

なんだろう。俺に言われても…みたいな顔された気がする
とにかくすることがないので虎石を観察するしかない
彼は今、俺のベッドでくつろいでいる。俺もその隣でだらーっとしている

『会話ができないって、結構つまんないな』

「?」

『一年前に戻ったみたいだ』

聞こえていたのかいないのか
彼は体を起こしてこっちに向かって来たと思えば、頬に口がつけられた

『人間だったら、殴ってたな…』

「ふに"ゃっ!!?」

『冗談。ありがと、和泉』

お礼におでこにキスをする
わかりづらいけど、彼は驚いたようだ
普段はこんなことしないからな

と、その時

ポンッ

『はっ?』

「あ」

『あれ?』

「戻った…?」

気の抜けた音と共にトラッシュの姿が変わる
元の彼に戻ったようだ
というか

(ち、ちかっ…!)

「やっとか…長かった………って哀葉?顔真っ赤にしてどうした?」

『いや…距離近…というか上半身裸かよ!』

「とりあえずお約束はなかったみたいだな」

彼は何を思ったのかもっと体を寄せてくる
思っているより鍛えられている体が目に入らないように目を逸らす

「哀葉」

『なんだよ…』

「悪かったな。寂しい思いさせて」

これはお詫びな。と猫の時された頬にまた口付けられた
………誰も寂しいなんて言ってない

そんなこんなで、信じられないような本当の出来事が幕を下ろした

ーー
エイプリルフール関係ない(安定)