ついにその時 ページ19
出陣の号令が出されて数日。出兵の準備を終えた一同はギランが見渡せるかの丘でその時を待っていた
『今日は風が強いな』
風の流れからしてきっと内陸部でも風塵が凄いだろう。決戦への一歩ということもあって精霊達も落ち着かない
「珍しいな。お前がそれを被るとは」
一人朝焼けがくる水平線を眺めているとダリューンが声をかけてくる。彼の言うソレは今私がつけている兜のことだろう
『初日だけでも見てくれはキチンとすべきだろう?』
「まあな。…それがあると、お前が総都督である事を再確認するな」
『私に対して上下の関係など皆無でいて欲しいのだけどね。だが今日は仕方あるまい』
本格的な王都奪還の日
上が先導の意思を見せなければ示しがつかない
『さぁダリューン。いよいよ今日から奪還の日々が始まる。私の背中はお前に託したよ』
「お前の背はちと荷が重いな」
『ははっ、違いない』
「ダリューン、ペルール」
出立の準備が整ったアルスラーンがこちらに声をかけてくる
「最悪の場合、私は父上と争うことになるかもしれない。お主達を巻き込んでしまったな」
「何を今更。どこまでもお供すると約束したではありませんか」
『巻き込むとは少し薄情ではないかい?私は進んで、お前に力を貸しているのに』
「いよいよ引き返せなくなりましたなぁ」
そこにナルサスも加わり悪友三人が揃った。その中にアルスラーンの姿があるのはなんとも可笑しな話ではあるが、今ではもう、見慣れた光景とも言える
「ナルサス。あまり嬉しそうに言うな」
「何故だ?殿下の門出を喜ばずしてなんとする?おぬしこそ嬉しいと顔に書いてあるぞ?」
「なっ、私は…!」
こんな言い合いもアルスラーンにとっては悩みを晴らす材料になり得るらしい
「ははっ、はははっ!本当にお主達は頼もしいな!……ダリューン、ナルサス、ペルール。王都を奪還するぞ…!」
「はいっ」
「必ずや」
『あぁ。それがお前の望みなら』
仲間の思いを胸にアルスラーンは先頭に立つ
堂々としたその姿は未来の王たる風格を連想させてくれる
必ず彼ならば、そう。正しき王になる
「これより!我が軍はエクバターナに向けて進軍する!」
「「おぉっ!」」
兵の士気も高い。必ず国を、暮らしを、取り戻す。そういった想いが見られる
それにつられて私も吼える
『さぁ我が同胞達よ!時は来た!必ずや我らが殿下に栄冠を捧げようぞ!』
──いざ、出陣
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奈那 - 完結おめでとうございます!最高のギーヴの夢小説に出会えて幸せです♡こっちが本当のアルスラーン戦記であって欲しかった…。春月様のこれからの作品も楽しみにしております! (2023年2月8日 16時) (レス) @page22 id: baac7d2864 (このIDを非表示/違反報告)
乱中 久(プロフ) - こんばんは。完結おめでとうございます。春月様のギーヴには毎度ドキドキさせていただき、更新が楽しみでなりませんでした。番外編や次回作等、これからの春月様のご活動も応援しております。 (2019年6月4日 20時) (レス) id: d74e0e0202 (このIDを非表示/違反報告)
シルバーウルフ - 今度はメルレインメインの小説が見たいです。(*^O^*)o(^o^)o (2019年5月30日 20時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃのべる(プロフ) - はじめまして。以前から楽しく読ませてもらってました。完結おめでとうございます。かってではありますが、またギーヴのお話を書かれることを、楽しみにしています。 (2019年5月29日 21時) (レス) id: 7753f34fb2 (このIDを非表示/違反報告)
林香織(プロフ) - 春月さん» 本当に長い執筆お疲れ様でした!ありがとうございます!Twitterの方でセブンにて販売すると仰ってたので、買いに行きたいと思います(*^^*) (2019年5月29日 16時) (レス) id: 3baa06326a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春月 | 作成日時:2017年9月27日 10時