好い女 ページ14
「…一年?ふ、つくづく甘い王子だ。一年経って自由の身になったら、俺はアンタに復讐するぞ」
それでもなおこの男の減らず口は絶えない
お陰でダリューンが突っかかってしまった。けれどアルスラーンはそれを止めて、シャガードに語りかける
ナルサスが友と呼んだのだから、と
「そうだ、ルナ。一つ言い忘れて居た」
後はクラーゼに連れて行かれるだけ。そう思っていたのに何故か彼は私に話しかける
『聞きたくはないが、聞いておこうか』
「あの夜、昔からお前に気があると言った言葉、嘘偽りはない」
『……は?』
あの夜、といえばギーヴに見限られそうになってしまった夜だ。確かに、そんな会話をした気がするけれど、今ここで言うことか
「俺が巨額の富を得た時に、お前を娶ろうと思ったのだがな。娼婦としてなぁ!」
『……』
この男は本当に最後まで裏切らない
クラーゼもいるというのに話を続けるのは悪意しかない
「ガッ!?」
呆れて物も言えなくなっていると、既にギーヴとファランギースが行動に出ていた
シャガードの腹を思い切り踏みつけ、いつのまにか抜いていた剣先がシャガードの眼前にある
ファランギースも矢じりを彼に向けている
「我が女神、我が月を冒涜するような発言は控えて貰おうか不男。お前の発言でペルールの耳を穢すな」
「それ以上口を開くのなら、ミスラ神の名の下にお主の脳天に天罰を下すがそれでもよいな?」
『………過保護』
「全くだな」
ーー
これで粗方の問題が片付いた
ナルサスはバルコニーへ向かって行ったが、知らないフリをする
(後やらなきゃいけない事は…海賊の根城を叩く事かな。ま、それはダリューンにやらせておこう。今は…)
私を後ろから抱きしめたまま微動だにしない恋人をどうにかせねば
『まだ怒ってるの?』
「逆にアレで怒らぬ方がおかしいと思うがな」
『戯言なんて気にしなきゃいいのに』
シャガードのアレは私に対しての嫌がらせに過ぎない。過剰に反応すればあちらの思う壺なのだし、一々気にしない
──怒ってくれるのは嬉しいけど
「自らの女が貶されていて、気にするな。というのは無理だ。お前は俺の大事な女なのだからな」
不覚にもときめいてしまったが、いつまでも不機嫌でいさせるわけにはいかない
私はなんとか振り向いて、ギーヴと顔を合わせる
『私の事を好いと思ってくれる人なんて、貴方以外要らないわ』
そう言えば、彼は優しく微笑んでくれた
なんとか、機嫌は治ってくれたようだ
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奈那 - 完結おめでとうございます！最高のギーヴの夢小説に出会えて幸せです♡こっちが本当のアルスラーン戦記であって欲しかった…。春月様のこれからの作品も楽しみにしております！ (2023年2月8日 16時) (
レス) @page22 id: baac7d2864 (このIDを非表示/違反報告)
乱中 久(プロフ) - こんばんは。完結おめでとうございます。春月様のギーヴには毎度ドキドキさせていただき、更新が楽しみでなりませんでした。番外編や次回作等、これからの春月様のご活動も応援しております。 (2019年6月4日 20時) (レス) id: d74e0e0202 (このIDを非表示/違反報告)
シルバーウルフ - 今度はメルレインメインの小説が見たいです。(*^O^*)o(^o^)o (2019年5月30日 20時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃのべる(プロフ) - はじめまして。以前から楽しく読ませてもらってました。完結おめでとうございます。かってではありますが、またギーヴのお話を書かれることを、楽しみにしています。 (2019年5月29日 21時) (レス) id: 7753f34fb2 (このIDを非表示/違反報告)
林香織(プロフ) - 春月さん» 本当に長い執筆お疲れ様でした！ありがとうございます！Twitterの方でセブンにて販売すると仰ってたので、買いに行きたいと思います(*^^*) (2019年5月29日 16時) (レス) id: 3baa06326a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2017年9月27日 10時
