水入らず ページ32
『久しいとは言ってもほんの1年ちょっと前に会ってるでしょう』
「それでも中々顔を見せないではないか。まさか、軍についていたとはな」
シャガードはそう言ってチラリと後ろのアルスラーンを見る
自由である私が、軍に…しかも幼い彼に従いていることが不思議らしい
まあこれは良く言われることだから対して気にしてはいない
「そちらのお方が王太子殿下ですな。私はこの町で商いを営んでいるシャガードと申す者。以後、お見知り置きを」
「アルスラーンだ。突然の来訪にも関わらず快く迎えてくれたこと、本当に感謝する」
「長旅でお疲れのことでしょう。まずはごゆるりとお寛ぎください。御付きの方も是非」
シャガードはそういって中へと促す
夕餉の時間までまだ少し余裕があるとのことで、私はお風呂に入ることにした
『じゃあ、シャガード、借りるね』
「あぁ、ゆっくりしていけ」
シャガードに断りを入れて風呂場へ向かう
すると両隣りから私の腕を掴む者が二人
ファランギースとアルフリードだった
「お主が入るのなら、私も同行しよう」
『えっ』
「女水入らずでね!さぁ行くよ!聞きたいことは山ほどあるんだ」
『えぇっ』
半ば引きずられるように風呂場へ向かうことになった
後ろを振り返れば、ギーヴが少し微笑んで手を振っていた
(薄情者〜…!!)
「で、馴れ初めは!?」
湯船に浸かると同時にアルフリードが問いかける
『馴れ初めって…別に対したことは…』
「まあ、最初、彼奴はルナを男だと思っていたからのう…しかし、いつ女だと知れたのじゃ?」
『えっと…』
なんと言えば良いのだろうか
あの時は体に負担がかかって、血反吐を吐いた所をギーヴに見られた
脇腹の傷が広がり、包帯を変える為に服を脱いだ時に起こったことだった
不慮の事故といえばそうなるのだ
『平たく言ってしまうと…着替え途中に部屋に入って来たから…ばれてしまったんだけど…』
「まさしく不慮の事故じゃな…しかし、嫁入り前のルナの肌を見るとは何と罰当たりな…過ぎたこととはいえ、後で一矢…『い、いいから!!』
ファランギースはどうも私のことになると過激になる
こっちがハラハラしてしまう
「でもいいなぁ…すっごい相思相愛で。羨ましい」
『……そう、かな』
「そうだよ!ギーヴのあんな優しい顔見たことないもん!」
『…そっか』
そう見えているのなら、嬉しい
「ペルールって凄く可愛いね?」
「そうじゃろう?」
『ちゃ、茶化さないで!!』
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夜兎 蓮(プロフ) - 更新されるのを待ってました!!!!ぺルールかっこかわいいです!!!!!! (2017年5月5日 13時) (レス) id: 594b9a598c (このIDを非表示/違反報告)
紫蝶桜 - 春月さん» 更新待ってました! (2017年3月18日 16時) (レス) id: 43ee0b77f2 (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - またまたお邪魔します!更新されたのがわかったので飛んできました!やっぱりギーヴファンにはたまらないです(笑)更新頑張ってください! (2016年12月12日 18時) (レス) id: 1eec9432d8 (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - 一番最初から読ませていただいてます!この作品大好きです!更新を待ってます! (2016年12月6日 15時) (レス) id: 1eec9432d8 (このIDを非表示/違反報告)
雨傘 - 最初から読んでますがやっぱり最高です!これからも頑張ってください!更新されたらすぐ読みます!! (2016年11月15日 20時) (携帯から) (レス) id: 23a2bb1a46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春月 | 作成日時:2016年7月5日 12時