王の帰還 ページ20
今回の功績者はトゥースだと、アルスラーンは言った
彼の誘導がなければ作戦は成功しなかったと言うわけである
アルスラーンの良いところは、こういう武勲ばかりを讃えるだけじゃないところだ。だから人が集まるのだろう
そんな和やかな雰囲気の中、兵が一人切羽詰まった表情で入ってくる
嫌な予感がする
「申し上げます!」
「何事だ?!」
「馬車が…国王陛下を乗せた馬車がこちらに向かっております!」
「!!」
『これはまた…一波乱』
嫌な予感とかこうも的中するものかと、感心したくなる
正直私は捨てられた身だ。何があろうとも、アルスラーンの傍にいなければ
「お前、また妙なことを口走るなよ。首が飛ぶぞ」
『それはこちらの台詞なのだよ。ダリューンこそ、生意気な口を聞かない方が良いのではないかい?』
「俺としてはどちらにも黙ってて欲しいがな…」
「『お前もな』」
「そこは息ぴったりなのか」
程なくして、国王が広間にやってくる
アルスラーンが座っていた玉座は、今は国王がおさめている
そして、その男に膝を付かなければいけないことがとても歯がゆい
「父上、ご無事でようございました。アトロパテネでお別れいたしてより、ずっと御身を案じておりました」
アルスラーンはそう言うが、私たち兵の空気は歓迎するような空気ではない
私のように、何故今なのだという者もいる
「母上も息災でございますか」
「パルスにおいては兵権は一人国王に帰す。余人が国王の兵権を犯せば、即ち体逆である。そのこと承知しておるな、アルスラーンよ?」
「…はい、陛下」
(この男は本当に…!!)
私が何かを口にする前に、ダリューンが口を挟む
「お言葉ですが陛下。殿下を王太子としてお立てになったのは陛下ご自身であらせられます。王太子が王権を代行するのは当然の理。王太子になんの罪がございましょう!?」
彼の言うことはごもっともだ
こうもぞんざいに扱うのは、王の前に父親として如何なものかと思う
けれどアルスラーンは、ダリューンに一喝した
そんな彼らをみて、何を思ったのか、国王はおもむろに立ち上がり告げた
「アルスラーン、汝に命じる。我が国土を回復するため、南方の海岸地帯へ赴き、新な兵を集めよ。その数5万に達するまで国王の元へ帰参するに及ばず!」
戦慄した
誰も何も言えなかった
けれどアルスラーンの口から反論など、出てこなかった
「勅命、謹んでお受けいたします」
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夜兎 蓮(プロフ) - 更新されるのを待ってました!!!!ぺルールかっこかわいいです!!!!!! (2017年5月5日 13時) (
レス) id: 594b9a598c (このIDを非表示/違反報告)
紫蝶桜 - 春月さん» 更新待ってました！ (2017年3月18日 16時) (レス) id: 43ee0b77f2 (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - またまたお邪魔します！更新されたのがわかったので飛んできました！やっぱりギーヴファンにはたまらないです(笑)更新頑張ってください！ (2016年12月12日 18時) (レス) id: 1eec9432d8 (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - 一番最初から読ませていただいてます！この作品大好きです！更新を待ってます！ (2016年12月6日 15時) (レス) id: 1eec9432d8 (このIDを非表示/違反報告)
雨傘 - 最初から読んでますがやっぱり最高です！これからも頑張ってください！更新されたらすぐ読みます！！ (2016年11月15日 20時) (携帯から) (レス) id: 23a2bb1a46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2016年7月5日 12時
