【アルスラーン戦記】月と詩が導く先

改めて報告 ページ19

パルス軍はペシャワール城塞へと帰還し、私たちは今までの経緯を彼に報告することになった

「従兄弟殿が宝剣ルクナバードを探していたのか?」

「それ以上に驚いたのが、横合いから現れた聖騎士団の連中が宝剣を持ち去ったということです」

「何と言うことだ…しかしよく無事で戻った。ありがとうギーヴ、ペルール」

アルスラーンは私達に労いの言葉をかける

『そう畏るな。私は、休暇と称して宝剣探しをしていたからな。少しでも戦いから離れられて、逆に良かったと思っているのだよ』

実質、お陰で発作も、疲れも取れたのだからナルサスには感謝している

「…しかし、それにしても…あの男は誰にございますか!ファランギース殿の傍に図々しい」

ギーヴはファランギースの隣にいるクバードを指差す

「あぁ、万騎長のクバードだ。聖マヌエル城での戦いから合流してくれた」

ギーヴはファランギースの方へと近づき、クバードをしげしげと見る
彼なりに普段通りの自分を演じているのだろう

「ファランギース殿、いかに俺の不在が貴方の心を空虚にしたとはいえ、いたずらにふざけた男をお側に近づけては貴方の尊厳に関わりますぞ」

『お前は帰って早々、ファランギースに手を出すのかい』

はぁ、とため息を吐く。ファランギースも相変わらずの塩対応だ
と、クバードと目があった

「ペルール、後で酒に付き合えよ?この前はお前が逃げたからな」

クバードはニヤニヤを私を見る
あぁ、ばれていたのか

『ぅえ……勘弁して欲しいのだが…お前に付き合っていると、酒が体に悪く感じるのだよ』

「可愛い部下のお願いを聞いてはくれねえのか?」

『お前の様な男を可愛いなどと言う輩は何処にもいないのだよ。阿呆が』



一方、じゃれあいを終えたギーヴとファランギースは

「…ファランギース殿、俺の伴侶が口説かれている気がするのは気のせいか」

コソッと小声でギーヴが問う

「私はお前をルナの夫と認めたわけではないのじゃが…クバード卿がルナを女と気づいている様には思えぬがな」

「いや、あの男は食えん匂いがする…今後、要注意だな」

「おぬし、見ない間に随分過保護になったのう」

「これだけ無防備だとそうなるのも仕方が無いだろう」

「それもそうか…」


何はともあれ、これで再びアルスラーンの陣営にギーヴとペルールが加わったのである

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